第285話 追撃
諸葛亮は徐庶がいなくなった事により、関羽が敗れ新野が奪われる事は想定していた。
ならばと関羽が敗れた事すら策に利用していた。
新野方面に偵察隊を派遣し敗戦を確認、敗戦の連絡が孫権に届けば油断する、そこに仇敵である黄祖を見かければ血気盛んな孫権を釣る事は簡単だった。
諸葛亮にしてみれば、あとは誰が孫権を討つかだけなのだが、義理堅い関羽を選ぶ。
関羽は劉備陣営でナンバー2の存在であり、軍事においての発言権は諸葛亮より上であった。
そこで新野を失った事を責めるより、新たな功績を得る機会を与える事により、自分の才を認めさせるだけでなく、恩義から従うしかないように仕向けていた。
敗走する関羽に使者を送り、孫権を討つために逃走経路に兵を伏せるように伝える。
今まさに関羽の前に孫権が現れたのであった。
「軍師とはここまで予見出来る物なのか・・・
諸葛亮、認めるしか無いな。」
関羽は諸葛亮の先見の明に驚きを隠せない、大軍の孫権を追い込んだ策も見事であるが、数多ある逃走経路から実際に逃げてくる道を予測するなど、何をどう考えれば導き出せるか理解が出来ない。
「孫権!我が主劉備に成り代わり、この関羽が引導を渡そう!」
関羽の青龍偃月刀がキラリと光る。
「待て、関羽殿!」
孫権は冷や汗をかきながらも関羽に声をかけ舌戦に入る。
「なんだ孫権?」
「貴殿、及び劉備殿のお力はよくわかった!
どうだろう、劉備殿と同盟を結びたい。」
「この期に及んで見苦しい。」
「待て待て!我が孫家と劉備殿が同盟すれば劉備殿に利が有るはずだ、もし私を見逃してくれたら貴殿と劉備殿に大量の礼をしよう、劉備殿の今後を考えると悪い話では無いはずだ。」
これまでの逃走により、孫権の周りの兵は現在百程度である。
将である、凌統、周泰も張飛を抑える為に残してきた今、関羽に攻撃されると防ぎきれるとは思えなった、だからこそどんな条件であれ生き残る為には交渉するしかない・・・
「黙れ!武人たる我に買収などきかん!
新野を失った失態、お前の首で贖ってもらうぞ。」
関羽はいうやいなや、馬を駆り孫権に一直線に向かう。
「防げ!」
孫権は残った兵に命じ盾とし、逃げる時間を稼ごうとするのだが・・・
「邪魔だぁ!」
関羽は一閃の下に斬り捨て、さしたる時間も稼げ無い。
「待て関羽!!」
孫権は剣を抜き関羽の青龍偃月刀を受けるものの、その膂力に押し切られる。
「なっ・・・
父上、兄上、申し訳ありません・・・」
孫権は薄れゆく意識の中で亡き孫堅と孫策に詫びるのであった。
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