第286話 報せが・・・
「邪魔だ!
くそっ!ここまでか!!」
関羽が孫権を始末している頃、張飛は乱戦の中にいた。
当初、すぐに孫権を追えると思っていたが凌統が命懸けで防戦したこともあり、張飛の足止めに成功、その後、周泰と援軍に来た太史慈に挟まれ劣勢となっていた。
「我が主君を狙おうとは許せん、張飛、お前にはここで死んでもらう!」
「この張飛を討てると思うなよ!
うん?あれは・・・」
張飛は合図の狼煙が上がったのを見つける。
それは孫権を討ち取ったという連絡だった。
「わはは!これはいい、お前達の主君孫権は死んだぞ!」
「なんだと!言うに事欠いてそんなデタラメを!!」
「嘘だと思うなら確かめたらいい!
俺はこのまま帰るさ。
野郎共、引き上げるぞ!」
張飛はそそくさと引き上げる。
「待て!張飛!!」
周泰が追いかけようとするが・・・
「周泰待て、それより孫権様の無事を確認しよう。」
「・・・そうだな。」
二人は孫権が逃げた方向に向かうのだが・・・
そこには首を取られた孫権の身体が残されていた。
「孫権様、なぜこのようなお姿に・・・」
周泰は涙が止まらない、膝をつき身体の前で後悔の涙を流すのであった。
そして、孫権の死はすぐに周瑜の下に届けられる。
「な、なんだと、孫権様が・・・」
周瑜は目の前が暗くなるように感じる、孫堅、孫策、孫権と3代に渡り早くして主君を亡くしてしまった。
家臣としてこれほど情けない事はない。
感傷的な事以外にも今後どうするか、重大な問題がある。
後継ぎをどうするかだ。
孫権はまだ若く子はいない上に後継者を指名していなかった。
候補は弟の孫翊、孫匡、孫朗、孫策の子供孫紹である。
全員まだ若く誰が継いでも後継者が補佐するしかない。
周瑜は今後起こるであろう後継者争いに頭を痛めながらまずは目の前の戦を終わらせなければならない。
「呂蒙、殿は君に任せる、追撃に備えゆっくり下がるように。」
「わかりました。」
周瑜は篭城戦を止め、撤退を始める。
「孫権軍が撤退したぞ!追撃だ!」
江夏で篭城していた蔡瑁は周瑜が撤退するのを見て追撃に入る。
「今だ、矢を射掛けろ!」
周瑜は蔡瑁の追撃に備え、殿の側面に兵を伏せており、一気に矢を射掛ける。
「なっ、下がれ、城まで下がるのだ!」
蔡瑁は慌てふためき江夏に引き上げる。
「今のうちに退却だ。」
周瑜は損害を出さずに退却に成功するがその足取りは重いものであった。
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