第284話 罠

孫権が黄祖に向い兵を動かした事を周瑜は少し遅れて聞くこととなる。

「・・・なに?孫権様が本陣の兵を率いて西に現れた黄祖を討ちに行った?」

周瑜は一瞬、亡き孫堅を思い出す、あの時も孫堅が突出して黄祖に討たれたのだ。

現状、敵の多くは江夏にいると思われるがそれでも伏兵が潜んでいないとも限らない。


「太史慈に連絡をすぐに攻城戦を中止し、孫権様を援護に向かうように伝えろ!」

周瑜は信頼出来る将軍である太史慈を援護に向かわせる、その事で攻城戦が遅れる事になろうとも致し方無いと考えていた。



「劉備様、孫権が釣れました。

これより全軍で孫権を仕留めに参りましょう。」

「見事だ諸葛亮!

先陣は張飛に任せる、狙うは孫権ただ一人!

全軍突撃!!」

劉備の号令の下に劉備軍五千が孫権軍の側面を突く。

「何だと伏兵か!

・・・しまった!」

孫権は伏兵に驚く、それともに自身が釣られてしまっている事に気付いた。

「凌統!敵を防げ!!」

「はっ!」

凌統は黄祖を追うのを止めて側面に襲い掛かる劉備軍を相手にするのだが、猛将張飛を止める事は出来ていなかった。


「孫権様、お逃げください。

ここは私が防ぎます。」

周泰は戦況が悪いことにいち早く気付く、急遽軍を動かした為に兵の動きが悪い上に側面を急襲され動揺が広がっていた、このような状況で張飛を止めることは困難と考えていた。

凌統と周泰の二人で対応する事で孫権の逃げる時間を稼ぐつもりだった。


「周泰すまない!」

孫権も自身の状況が悪いことは理解している、周泰の進言を受け入れ供回りの千を連れて戦場から離れるよう南に向けて退却を開始する。


「逃がすか!この張飛様の餌食になりやがれ!!」


張飛の声が戦場に響く。

「張飛、これ以上進ませる訳にはいかない、主君を守る為に俺と戦ってもらおうか!」

周泰は張飛の前に立ちはだかる。

「この張飛様とやろうってか!」

張飛は気力充分、周泰と向き合う。


だがその間も兵は削られていく。


「孫権よ。逃げれると思うな。」

諸葛亮は孫権の逃走ルートも予測していた、逃げる先に劉備軍が現れる。

諸葛亮は孫権の逃走ルートを予測し、様々な場所に伏兵を置いていた、孫権の供回りは伏兵を受けるたびに減っていく、だが供回りの奮闘もあり、諸葛亮のを切り抜けていく・・・


「助かったのか・・・」

孫権は追撃が弱まった事に少し安堵するのだが・・・


「本当に来るとは、諸葛亮のことを見直さなければならないな。」

孫権を待ち受けていたのは新野から退却してきていた関羽だった。

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