第189話 曹真を呼び出し・・・

小蘭は卞氏に報告していた。

「つまり陳宮の通行を認めなかった者がいるのですね。」

「はい、そのようにございます。」

「その時の門番を呼びなさい、私への客人の通行をどのような理由で拒絶したのか問いただす必要があります。」

卞氏の声からは怒りが感じられる、卞氏としては陳宮と曹清の仲を応援しているのだ、それなのに自分を訪ねて来た陳宮を追い返すなど自分の意志ではない。

この件を許すことは出来ないと感じていた。


門番を呼び出し問い詰めた結果、曹真の名が浮上してくる・・・

「近衛の曹真が二人の仲を邪魔しているのですか!」

「は、はい、そ、そのようにございます。」

卞氏の怒りに侍女達は恐れおののく。


「曹真といえば曹操様の甥・・・

これより、曹操様の元に参ります。」

卞氏は曹真を処罰するにも曹操の許可が必要と考え曹操に報告に向かう。


「曹真がそのような真似をしているのか!」

報告を受けた曹操は信じられないといった表情を浮かべている。

「はい、門番が曹真の名前を出す必要性はありませんから、嘘は無いと思います。」

「曹真を呼べ!」

曹操は兵士に曹真を呼びに行かせる。


「曹操様、お呼びとあり参上いたしました。」

「曹真、お前には聞きたいことがある。

嘘偽りなく申せ。」

「はっ、曹操様の御前で嘘偽りなどあるはずがありません、何なりとお答え致します。」

「本日、陳宮が卞氏を訪ねたそうだが、奥への通行を許可しなかったのはお前か?」

「えっ・・・」

「答えよ。」

「そ、それは・・・」

「どうなんだ?」

「・・・はい、私が通行を認めませんでした。」

曹真は言いにくそうに答える。


「何故そのような真似をしたのか?」

「曹清様の事を思えばこそです、たしかに陳宮は戦に強い、それは認めます。

ですが、醜い陳宮に嫁ぐなど曹清様の事を思えばあまりに酷い話です!

曹操様、どうか曹清様の婚姻を考えなおしてください!」

「曹真、お前の意見はわかった。

だが、どんな理由があれ面会に来たものをお前の判断で断った事は許せるものではない、お前は近衛の職から外す。」

「曹操様!どうかお考え直しを!」

「信用出来ぬ者を近衛にはおけん、俺に意見を言いたいなら手柄をもって言うがよい。」

「曹操さま何卒お許しを!」

「下がれ、宮中にお前の席は無い。

連れて行け。」

「曹操様!」

「最後に一つ言っておこう。

陳宮に嫁ぐのは曹清の意志だ、決して俺が無理矢理嫁がせた訳じゃない。

よく覚えておけ。」

曹真は兵士に抱えられ追い出される。


「曹操様、私の侍女も曹清の結婚をよく思っていない者がおりました、今一度調べてみるべきと思います。」

曹真が追い出されたあと卞氏は曹操に進言する。

「うむ、今一度調べてみるか。」

曹操は進言を受け入れ調査を開始するのであった。

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