第190話 若者達を見た大人は・・・
曹操が調べた結果。
政策として理解を示す者は重臣達の中にはある程度の理解があるものの、感情としては曹清が可哀想だと言う声が強い。
若い世代に至っては人身御供にされたとまで言われている始末であった。
「ここまで酷いとはな。」
陳宮が立てられている噂には若く美しい曹清に懸想して、自らの功績を盾に曹操に無理矢理自分の物になるよう要求した非道な奴だとまで言われていた。
「無理矢理、結婚させた弊害だったのでしょう、ですがあの時はそうしないと陳宮との縁が切れるところでしたからね・・・」
卞氏は曹操が無理矢理結婚させた事に理解を示している、だが若い者にとってはそれが更に反発の元になっていた。
「中心は夏侯充達か・・・」
先日、捕虜交換で帰って来た者達が反対派の中心ではあったのだが、先日の敗戦からか今はそれほど大きな動きは無く、罪に問うかどうかは迷う所であった。
その頃、夏侯淵は陳宮の元を訪ねていた。
「よう陳宮、元気か?」
「お前ほどじゃないが、元気にしてる。
今日は何のようだ?」
「前から言ってただろ?
ほれ挨拶しろ。」
夏侯淵は連れていた子供を前に立たせる。
「夏侯衡です、以後お見知りおきを。」
「夏侯覇です、武勇に自信があります!」
「夏侯淵、この二人は?」
「俺の長男と次男だ、見ての通りまだまだ未熟者だ、お前の元で鍛えてやってくれ。」
「俺の元で鍛えるって、たしかにそんな事を言っていたが・・・」
「なに、戦場でくたばっても何も言わねえよ、それはコイツラがそれまでだったってだけだ。」
「たしかにその心配はあるが・・・」
「それにだ、お前の元には曹彰がいるだろ、次の主君の側付きにするにはいいだろ?」
「曹操の後継者はまだ決まってなかったはずだが?」
「俺は曹彰を推す、曹丕の元に集まっているガキはダメだな、未だに現状を見れていない。
まだお前と曹清の結婚に対して文句を言ってやがる、本当に恥ずかしくないのか。」
「それはな、仕方ないんじゃないか、見ての通り、醜い年老いたオッサンに若く美しい曹清が嫁いだのだ、文句の一つも出るだろう。」
「文句の一つ程度なら問題無いのだがな・・・
まあお前の件で次世代が国を潰さない為にも準備がいるという事に気付かされたな。」
「結構酷い事を言ってるぞ。」
「事実だ、次世代は曹彰の元に人を集めた方がいいと俺は考えただけだ、まったく曹操がハッキリと後継者を決めればいいのだがな。」
「曹昂様がお亡くなりになったから決めれなくなったのだろう。」
俺は曹操の長男であった曹昂を思い出す、亡くなった時こそ俺は曹操と袂を分けていたが、以前に曹操軍にいた時に面識があった、曹操の才覚を充分に受け継ぎ、曹操と違い善良な面が見えていた好青年であった。
曹昂が曹操の後を継ぐのなら誰からも文句が出ることは無かっただろう。
「曹昂様か、惜しいお方だった・・・
どうしても比べてしまうな。」
夏侯淵も曹昂と比べてしまい、曹丕は力不足に感じているのだろう。
「陳宮、曹彰様の教育は任せたぞ、俺は使えそうな若者をお前に送ろうじゃないか。」
「おい、それって、俺に教育しろと?」
「もちろんだ、次の世代の為に働け。
俺達はもうそんな歳になっているんだよ。」
「やかましい!」
「伯父様、私の事も紹介してもらえないでしょうか?」
俺と夏侯淵が話している所に若い女の子・・・
曹清と同じぐらいの娘が声をかけてくるのであった。
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