第188話 卞氏からの使者

「曹清は遅いですね、何をしているのでしょう?

誰か曹清が何処にいるか確認してきなさい。」

卞氏はいつまで経ってもやって来ない曹清を不思議に思い、侍女に曹清を捜させていた。


「卞氏様、曹清様なのですが既に帰宅なされたとの事にございます。」

「帰宅?面会を求めていたのに帰宅したのですか?

いったい何があったのでしょう?」

卞氏は曹清がそんな非礼な真似をするとは思えない、そうなると何か理由があるはずと考える。


「曹清に使者をどうして帰ったのか聞いてきなさい。」

卞氏は曹清に使者を出すことにする。


「陳宮様、卞氏様から私に使者が来ているのですが一緒にお会いしてもらえませんか?」

「先程の件でしょうね、わかりました会いましょう。」

俺と曹清は使者に会う。


「わたくしは卞氏様の侍女、小蘭と申します。

曹清様にお目通りがかない光栄にございます。」

「小蘭、一緒にいる陳宮様に挨拶が無いのはどのような意味か教えてもらえないでしょうか?」

曹清は俺に挨拶をしなかった事で不機嫌になる、元々門前払いにあったことで少し怒っていたのだ、小蘭の非礼を見逃す気にはなれなかった。


「も、申し訳ありません!」

小蘭は普段温厚な曹清が不機嫌な様子を見せた事に焦り、咄嗟に謝罪する。

「卞氏様の侍女ともあろう者が非礼な真似をするとは・・・

主の卞氏様に泥を塗ったと思いなさい。」

「平に、平にご容赦ください。」

「曹清、私の事はいいから卞氏様のご用事を聞きましょう。」

「陳宮様はお優しすぎます・・・

小蘭用件はなんですか?」

「は、はい、卞氏様は本日曹清様がお帰りになられた理由をお知りになりたいとの事にございました。」


「それは陳宮様を、私の主人を通そうとしなかったからです。

どうやら宮中には私を貶めようとする方がおられるようですので、私が一人で行くことはないと卞氏様に伝えてください。」

「曹清様、それは違います!宮中に曹清様を貶めようとする者などおりませぬ。」

「そうでしょうか?少なくとも主人を認めぬ者が多いと思いますが?」

「それは曹清様の事を想って・・・」

「私の想いを勝手に想像しないでください。

あなたのような方がいるから一人で向かう事など出来ません、卞氏様にそうお伝え下さい。」

「曹清様、どうかお考え直しを。」

「あなたは卞氏様の使者でしょう、卞氏様にちゃんと伝えるように。」

曹清に取り付く島もない小蘭はトボトボと卞氏の元に報告に戻るしかなかったのだった。

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