第187話 面会

「陳宮、曹清との仲は良好と言って良いのだな?」

「問題無い・・・よね曹清様?」

「はい、私は陳宮様をお慕いしております。

陳宮様がよろしいのでしたら何も問題はないかと。」

「ということだ曹操。」


「うむ、それは良いことだ。」

曹操は懸念事項が一つ片付いて一安心するのであった。


「それより曹操、人をくれ。」

「それよりって、お前な結構大事な話だぞ。」

「仲について問われるのはむず痒い気がするからな、問題無い事がわかればいいだろ?

それより国の話をしたい。」

「人か?お前の軍には充分チカラがあるじゃないか。」

「武官じゃない、文官の方だ。

足りなすぎて負荷が酷いことになっている、何人か回してくれないか?」

「ふむ、それならば何人か用意しよう、なるべく早くお前の所に派遣する。」

「頼んだぞ。」

「任せろ、お前には随分助けられているからな、最優先で対処しよう。」

その後、曹操と戦略について話し合い、部屋を後にする。


「曹清様は卞氏様にお会いしなくても良いのですか?」

「陳宮様が一緒に行ってくれるなら参りますが、一人で行こうとは思いませぬ。」

曹清は一人で行動し、また噂を立てられる事を恐れていた。

「なら一緒に参りましょうか。」

俺は曹清を連れて卞氏に面会を求める。



「これよりは奥になりますので、陳宮様はお引取りください。」

しかし、入口の門兵に止められる。


「仕方ない、帰るか、卞氏様には訪問したことをお伝え下さい。」

俺はそそくさと帰ろうとする、それに従うように曹清も後に続くのだが。


「曹清様はお通りになられますぞ!卞氏様もお待ちですので、さあお通り下さい。」

「・・・私は主人と共に来たのです、主人が通れないなら私が通る理由がありません。」

「ですが、卞氏様は既にお待ちなのです、久しぶりの親娘の対面を心よりお待ちしている卞氏様のお気持ちをくんでください。」

「卞氏様は私の立場をよく理解なさっているお方です、その方が陳宮様と引き離すような真似をするとは思えません。

貴方はいったい誰の命令で動いているのです。」

「そ、それは・・・」

門兵が言いにくそうにしている姿に確信を得る。


「曹操が娘、曹清が命じます、貴方に命令を出しているのが誰か言いなさい。」

「なっ、し、しかし・・・」

「奥を護る門兵が曹操の娘の命令を聞けぬと言うのですか!貴方の忠誠が誰にあるか調べねばなりませんか?」

「・・・曹真様です。」


「曹真が何故邪魔をするのですか!」

「わ、わかりません、私は隊長の曹真様に命じられた事をしているだけにございます。

どうかお許しくださいませ。」

「曹清様、一兵士を問いただしても仕方ありませぬ、今日は一度帰り後日対応致しましょう。」

「しかし・・・

いえ、陳宮様がそうおっしゃるなら。」

「お待ちを、曹清様がおこしくださらないと卞氏様になんと申せばよろしいのか・・・」

「それは貴方の責任でしょう、私達には関係無い話です。行きましょう曹清様。」

俺は曹清を連れて帰るのであった。

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