第186話 曹操と対談

許昌についた俺は張遼の屋敷に入る。

以前建てた屋敷があるのだが、そこに入る気はせず、張遼の屋敷を借りる事にしたのであった。

「曹清様は宮殿に帰らなくて良かったのですか?」

「帰りません、私の居場所は陳宮様の隣です。」

俺は曹操のいる宮殿に帰る事を薦めたのだが頑なに帰ろうとはしなかった。


到着した翌日、俺は曹清と曹彰を連れて曹操を訪ねる。

「曹操、子供達を連れて帰ってきたぞ。」

「おお、陳宮よく来てくれた、曹彰はうん、元気そうで何よりだ、曹清はうまくやっておるか?」

曹操は曹彰の元気そうな姿に喜び、曹清を見て心配そうにしている。


「父上、この曹彰は元気です。

既に一人前の将として戦場も経験致しました。」

「なんと!既に戦場に出たのか!」

「はい!」

「曹彰様、満身は油断を招きます、ましてや兵の指揮は張遼が行っておりました、一人前の将というのは少々足りませんよ。」

「先生は厳しいなぁ、たしかにそうです。次は指揮を取らせてください!」

「機会があればですね、ご自身の武勇無しで兵を指揮して勝つ事を経験してもらいますか。」

「武勇無しなのか・・・」

「はい、そのほうが指揮を覚えれると思います。」


「これは良い、曹彰良き師に出会えたようだな。」

「はい、先生に指導されております。」

曹操は満足気に話を聞いていた。


「曹操、実際武勇は中々のものらしいぞ、なにせ高覧を討ち取ったからな。」

「なんと高覧といえば袁紹軍でも名うての勇将ではないか、曹彰よくやったな!」

曹操は不甲斐ない次世代が多い中、曹彰が戦功を立てた事は嬉しい知らせであった。

そして曹彰も褒められた事に照れながらも喜びの表情を見せる。


「曹彰、卞に手柄を知らせてやれ。」

曹操は曹彰に席を外せと遠回りに伝える。

そして、それは曹清について話すという言葉が隠されていることは曹彰も気付く。


「父上、先生のお相手にこのアバズレは如何なものかと、今は致し方ないにしても、一考なさるべきと思います。」

「曹彰様、自分は曹清様に満足しております、それに自身の姉をアバズレなどと言うべきではありません。」

「先生はお優しいからそんな事をおっしゃるのです。

せめて正室には相応しい者を迎えるべきと思います。」

「曹彰様、それがしとて誤解をしておりましたので偉そうには言えませぬが、曹清様は噂のような事は無かったとハッキリと言ってくれました。

それで良いではないですか。」

「先生!」

「曹彰そこまでだ、男女の機微は単純なものではない、当事者が良いのならそれで構わぬ事も多々ある。

あとは俺が話すから曹彰は卞の所に行くのだ。」

「父上!

・・・わかりました、ですが私の言葉も一考願います。」

曹操が強く言い出した事を感じ、曹彰は引き下がり部屋から出ていくのであった。

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