第223話 客人沮鵠

書類と戦って数日、許昌に行っていた者達は疲れがとれた頃、張遼がやってくる。

「そろそろ疲れが取れた頃だろ、陳宮に客が来ている。」

「・・・疲れが取れているように見えるか?」

「なにか?」

「何でもありません・・・」

少し後ろめたい俺は張遼に弱かった。


「それで客とは誰?」

俺は話を進めることにする。


「袁紹からの使者だ、まあ袁紹が死ぬ前に出した使者だから情勢が変わった今取り扱いに困ってな、お前の判断待ちだったんだ。」

「おいおい、それなら帰国してすぐでも良かったんじゃないか?」

「それは相手に自分達が優遇されていると意識させるだろ?

袁紹の後ろ盾が無い使者だ、少しは立場をわきまえさせないとな。」

「お前が言うならその通りなのだろう、まあ取り敢えず面会しようか。」


俺は使者として来ていた沮鵠と甄氏、美鈴の3人と面会する。

どうやら使節団として来ていたようだがこの3人以外は袁紹の死を聞いて四散したようで帰国したくても出来ない状態となっていた。


「沮鵠殿、沮授殿の事は聞いている、此度の事は心中察し致す。」

「父をご存知でしたか。」

「袁紹軍において一番の知略を持ち、内政に深い見識をお持ちの方と聞いていた、一度教えを請いたいところだったのだが・・・」

「陳宮殿にそこまで言ってもらえ父も喜んでいると思います。」

「それで沮鵠殿、話とは?袁紹殿が亡くなり国が荒れている今使者としての話は出来なくなっているのでは?国に帰るなら護衛をつけてさしあげるが?」

「陳宮殿に頼みがあります!どうか父の仇を取るために陳宮様の幕下に入れてもらえませぬか!」

「仇を取りたいのなら袁煕殿か袁尚殿がおられるのでは?」

「あの御二方に高幹を倒せるとは思えませぬ、今高幹を倒せるのは陳宮殿において他ならないと考えております。」

「たしかに高幹を倒せるのは俺か曹操だろうな、袁尚殿がおられる南皮は俺が先日の戦で荒らした後だし、袁煕殿は袁紹殿の家臣達の支持が少ないと聞く、守る事なら出来るかも知れないが高幹を倒せるかはわからないな。」

「はい、それに加え、袁尚様は袁煕様が動けば袁煕様の本拠地を奪おうとなされるでしょう、あの方は袁譚様のみならず、袁煕様が持つものも妬んでおりましたから・・・」

「わかった、沮鵠殿を召し抱えさせてもらう、戦の時までしかと働いてもらいますがよろしいですか?」

「お任せあれ。ですが高幹との戦の時には一部隊をお預けいただきたい。」

「仕事振りを見て預ける兵数を決めさせてもらう、それでよろしいか?」

「はい!光栄にございます。」

沮鵠は深く頭を下げ、感謝を伝えるのであった。

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