第222話 帰国・・・

俺が臨淄につくと張遼が笑顔で出迎えてくれる・・・


この笑顔は・・・


俺は無言で張遼の背を向ける。


「陳宮?何をしている?こっちを向け。」

張遼が肩を掴んでくる。


や、やばい、これは怒っている。 


俺の背中に冷や汗が流れる。

「た、ただいま、張遼さん。

色々大変だったよね。」

「誰かさんのお陰でな、仕事は山積みというのに中々帰って来ない、結婚式を始める、挙げ句成廉を送らなければならない事態を引き起こす。

お前は俺達を苦しめて楽しんでいたのか?」

「い、いや、そんなつもりは無いよ。

でもね、ほら、対外的にも結婚式をあげた方がいいかなぁって・・・」

「その結果が夏侯充の暴走だろ、今の許昌で下手に刺激を与える真似をするな、まったく中央と不仲になればそれを利用する奴等が湧いて出るんだぞ。

もっと気をつけろ。」

「・・・」

俺は視線を逸らす。

張遼の言葉から俺の身を案じている事はよくわかる、だからこそ新たな火種を伝えるかどうか考えるところがある・・・


いや、言わなきゃいけないのだが、今じゃなくてもいいかなぁと少し迷う。


「陳宮、まだ何かあるな、詳しく聞かせてもらおうか。」

さらなる笑顔に真実を話すしか道が残っていないことを認識した・・・


「三公、太尉に就任だと!

お前は自殺願望でもあるのか!」

「しかしだな、褒賞として用意された上に陛下も望まれているとなるとな・・・」

「あからさまにお前と曹操を争わせる気じゃねえか、お前も気付いているんだろ?」

「まあな、だが俺は曹操の娘婿になったし、大丈夫じゃないか、まあ宮廷の不満を曹操に伝えるぐらいの仲介ぐらいはしてもいいしな。」

「お前が宮廷の黒い奴等とやり合える訳が無いだろう、お前は戦略以外ポンコツな事を自覚しろ。」

「それはそれで酷くないか?」

「当たり前の認識だ。

・・・まあ決まった事をとやかく言っても仕方ない、お前は暫く書類と戦っていろ。」

「張遼、書類とは机を埋め尽くす紙の山じゃ無いよな。」

「あれだ、サッサとやらないと終わりがこないぞ。」

「うう・・・頑張ります。」

俺は張遼に与えられた書類と戦う事になるのであった・・・

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