第221話 褒賞
結婚式が終わり、少し落ち着いた頃、曹操と面会することになる。
「陳宮、結婚式はすまなかった・・・」
「だいぶ疲れているようだな。」
「うむ、夏侯惇の気落ちが酷い事もあってな・・・
勿論、お前が悪い訳では無いのだが。」
「わかっている、だが家臣達の中にも俺を批難するやつがいるんだろ?」
俺は張遼が許昌に作った情報網から落ち込む夏侯惇に対しての同情の声もあり、夏侯充が死ぬことになった俺との不和を批難する奴も現れていた。
「本当にすまない。」
「いや、かまわない。
それより臨淄に戻ろうと思うよ、袁紹の死でだいぶ情勢が変わったみたいだし、体制を見直す必要がありそうだ。」
「だが、お前への褒賞をまだ渡せていないぞ。」
「その辺は適当にしておいてくれ、今回の一件で少し城内も信じれないからな。」
夏侯充が連れていたのは近衛兵なのだ、授賞式に出向いてしまえば式典中警備を行うのが難しくなってしまう。
自らの命を縮める真似をするなと張遼の命令を受けた成廉に日夜グチグチと言われていた事もあり、引き上げる事を考えていたのだった。
「・・・安全とは言えんよな。
致方ない、勅使はお前の所に直接行くようにしておく。」
「勅使?」
「そうだ、お前が太尉に任命されるように手筈を整えておいた。」
「なんと、それは光栄な事だ。」
「統治の役にも立つだろう、」
「だが、太尉に俺が就任していいのか?」
「いいだろ、俺が司空についている、対等な勢力のお前が太尉に就任して何の問題がある。
それにな、宮廷の方もお前がチカラを持つことを歓迎しているみたいだな。」
「曹操、それって・・・」
「ああ、宮廷の奴等は俺への対抗勢力が欲しいみたいだな、陛下の覚えが目出度いお前が俺と同じ発言力を持ち、宮廷からの意見の後ろ盾になって欲しいようだ。」
「俺はお前とやり合うつもりはないぞ。」
「お前が意味無く裏切るなんて思ってもいない、俺としてはお前の功績に似合うと思って太尉を用意しただけだ。」
「はぁ、あとで厄介事になりそうな気がするが・・・」
「だが三公と言われる太尉になれる機会など滅多に無いことだ、貰うだけ貰うといい。」
「たしかにな、お受けすると伝えておいてくれないか。」
「正式には勅使がついてかになるがな。」
俺は思わぬうちに位が一気に上がる事になったのだった。
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