第143話 袁紹攻め、準備

趙雲、周倉が新たに仲間に加わった事により陣容は充実してきた。

俺は本格的に袁紹攻めを検討し始める。


「陳宮、ついにやるのか?」

張遼は俺の雰囲気が変わった事に気付き、戦が近いと判断していた。

「まあな、先日の借りを返してやらないとな。」

「俺達は防戦より、攻撃だからな。」

「違いない、ただ問題はどうやってバレずに渡河を行うかだな。」

当然ながら袁紹は黄河の対岸に守備兵を置いている、手早く落とさないと守りを固められ、援軍が来てしまう。


俺が悩む中、孫香と陸遜が部屋に入ってくる。

「陳宮様、この陸遜に策がございます。

よろしければお聞き願えませんか?」

孫香が陸遜の策を薦めてくる。

「陸遜どのような策だ?」

「はっ、陳宮様、袁紹軍は黄河を気にしすぎており、後ろが手薄にございます。

一軍を海から背後に回し、対岸の守備が乱れた所で一気に渡河を行うのです。」

「一軍をと言うが渡河を考えると多くの船を海から回るようには出来ない、それはどうする気だ?」


「それなら大丈夫、兄から借りればいい。」

孫香は何でもないように言う。

「兄、孫権殿から援軍を借りるのか?」

「そうよ、とはいっても船を借りるだけなら大した事ないわ。」

俺は孫権のチカラを借りる事を考えていなかった。孫香が頼めば出来るのかも知れない。

「孫香殿、頼めるか?」

「それには一つ条件があります。」

「条件?もちろん謝礼は支払う気ではあるが・・・」

「私が陳宮様の寝所に入る許可をくれませんか?」

「寝所に?しかし、入っても何もありませんが?」

「夜な夜な、二喬の歌声を鑑賞なされているとか、私にもお聞かせ願えないかなと思いまして。」

「そのような事でしたら、いつでもどうぞ。

とはいえ、二人が歌ってくれるかはわかりませぬが。」

「いえ、許可をいただけるだけで良いのです。

二人には私から伝えますので。」

「そうですか、わかりました。

許可を出しましょう。」

俺は寝所に入れるだけでいいのなら何も問題無いと考え、許可を出す。


これで袁紹攻めを行える。

俺の頭は袁紹攻めの戦略で一杯となっていた。


「孫香様もお部屋に入るのですか?」

「そうよ、あなた達二人に独占はさせないからね。」

「まったく陳宮様は未婚の女性が寝所に出入りする意味を考えていませんね。」

小喬は少しため息をつく。


これまで何度か身体を寄せ誘惑してみたものの、お手つきになることは無かった。

とはいえ、陳宮の慌てる反応を見る限り、女性としての魅力が無いわけでは無いと思う。

小喬は慌てる陳宮を思い出し少し笑みが溢れる。


「あなた達、もしかしてまだ?」

小喬のため息に察したのか孫香が驚きの声を上げる。

「陳宮様は身持ちが堅いのです。

寝所に入ったからといえ、情けをいただける訳ではありませんよ。」

大喬は孫香に無駄だと伝えるのだが・・・

「それこそ燃えてくるじゃない、あなた達よりも魅力的な所を見せてあげるわ。」

孫香の負けず嫌いな感情が更に燃え上がる。


一方、正妻として寝所に入れる曹清は何度も曹彰の邪魔にあい、入る事が許されなかった。

「はぁ、陳宮さま・・・」

曹清は一人悲しい想いをしていたのだった。

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