第272話 孫権の使者

「陳宮殿、此度は劉表攻めの誘い誠に感謝致す。」

孫権の使者として面識のある黄蓋が来ていた。

「これは黄蓋殿、遠路遥々よくお越しくださった。」

「いやいや、陳宮殿のご配慮、主君孫権様を始め、家中一堂感謝しております。

これは孫権様からの感謝の品にございます。

どうぞお納めを。」

俺は孫権からの礼に思いのほか感謝が重い事に驚く。

「ありがとうございます。孫権殿にはよろしく伝えてもらいたい。」

俺は感謝を伝えるのだった。

「つきましては陳宮殿にお願いがある。」

「なんでしょう?」

「もし、陳宮殿が孫堅様の仇である黄祖を討った場合、我等は悔しい思いをすることになる。

その為、陳宮殿の軍に私を置いてもらえぬだろうか?」

「黄蓋殿が参戦されると?」

「多くの兵はおらぬが、孫権様の家臣の私がいるということで仮に黄祖を倒されても天下への面目が立つのです。

どうかお願いしたい。」

「わかりました、黄蓋殿のような名将に来てもらえるなら心強い、共に戦場に向かいましょう。」

「ありがたい。」

黄蓋は感謝の礼をとる。


「さて孫権殿と共闘も決まった事だし、戦に行きますか。」

「そうだな、いつでも動けるぞ。」

軍を纏める張遼の言葉を得て俺は総勢4万を連れて新野に向い進軍を開始する。


「先生、僕達はどうすれば良いのでしょう?」

曹彰は俺と一緒に行軍しながらどうすべきか聞いてくる。

「今回は見物してください、思ったより大戦となりましたが、やることは同じです。

準備をしっかり行い敵を討つ。

曹彰には戦場に立つこと無く戦う事を見てもらいたい。」

「・・・はい。」

大戦で戦場に立ちたい気持ちが強いのだろう、ウズウズした感じは伝わって来るが今回の相手は劉備である、非常識ともいえる豪傑、関羽、張飛の二人がいる以上、曹操の後継者の曹彰を戦場に立たせ万が一があってはならない、それに大将として我慢すべき事があることも教える必要がある。


俺は曹彰の気持ちを理解しつつも、戦場に立たせるつもりは無かった。

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