第181話 犯した罰は・・・

翌朝、仲間達の目が生暖かい・・・

「お前ら気持ち悪いぞ。」


「お楽しみだった奴が何を言ってる。」

張遼がハッキリと反論してくる。


「なっ!なんで知って・・・もとい、何の話だ!」

「言ってるじゃねえか、それでどうなんだ?

お前の相手次第で俺達も対応がかわるからな。」

「ああ、曹清様の噂は誤解だった、どうやら俺の早とちりだったようだ。」

「お前のせいでは無いと思うが・・・

まあ、お前がそう言うならそういう事にしておく。

みんないいな、これ以上曹清様をおざなりにすることは許さん。」


「わかった。」

「陳宮がいいなら、俺に異存はない。」

仲間達からも張遼に賛同する声が聞こえる、これにより曹清の事は一段落したかと思ったのだが・・・


「異存があります。」

大喬、小喬が手を上げる。

「えーと、大喬、小喬何か問題が?」

「大いにあります、曹清様だけお情けをいただくなど不公平では無いですか。

私達にもいただきたく思います。」


「えっ?」

大喬小喬は天下に名が知れ渡ってもおかしくないような美女である、俺が汚していい存在ではないような気がするのだが・・・


「それはいい、陳宮の妻は多いほうがいいからな、大喬、小喬側室で構わないか?」

「はい、私達はそれで構いません。」

「なら決まりだな、陳宮良かったな、嫁さんが増えたぞ。」


「おいおい、そんな簡単に決めるなよ、大喬、小喬、君達だってもっと自分を大事にだね。」


「なら手筈は私が整える、二人共安心したまえ。」

「ありがとうございます。張遼様。」

「よしなに宜しくお願い致します。」

俺の言葉が届かないかのように張遼と二人の間で話が纏まっていく。


「なあ、俺の話を聞いている?ねえ?」

しかし、仲間達からの返事は無かった。


「曹清様にお話があります。」

張遼はグダグダ反対する陳宮を放置して曹清の元を訪ねていた。

「張遼、なんでしょう?

いえ、私からも話がありましたので丁度良いのですが・・・」

「昨夜、陳宮と結ばれた事をまずはお祝い申し上げる。」

張遼は最初に祝辞を述べる。

「えっ、あっ、ありがとうございます。」


「ですが、曹清様が陳宮の元から離れていた時間が長かった事はご理解していただけるでしょうか?」

「・・・はい、それは私の不徳の致すところですから。」

曹清は少し表情を曇らせる、陳宮の誤解は解けたとはいえ、張遼達の支持を得れなければ本当に帰って来れたとは言えない、きっとこれから張遼が切り出す話はそういった事なのだと、重い話になる覚悟を決める。


「その間、陳宮を支えた女性がおります。

私としては、その女性を側室として陳宮に娶らせるつもりにございます。」

「えっ・・・それは・・・」

陳宮が側室を持つ、それは致し方ない事なのだと頭では理解しているものの、やっと結ばれた今はあまり考えたく無い事ではあった。


「代わりに家臣の不満は私が抑えましょう、陳宮を独占出来ない事は不満でしょうが、私としては義を通す為にも譲れない話なのです。」

陳宮の信頼厚い張遼が味方についてくれることは大きい、張遼の発言力は陳宮軍において陳宮に次ぐものがある。

その張遼が譲れないという以上、断るなら張遼は敵対しかねないという事になる。

私と張遼が争う事になれば、必然的に陳宮に迷惑もかかるだろう・・・


「私が正妻という事にかわりはないのですね?」

「はい、約束致しましょう、ただ毎夜閨を共に出来る訳では無いとだけ覚えていただきたい。

まあ、順番については奥を管理するものをおき話し合う事になると思いますが、決して互いを蔑ろにする事は無いと約束致します。」


閨の順番・・・

今の曹清からすれば毎夜一緒にいたい気持ちで溢れている、だがそれをすれば張遼が敵になり、陳宮を困らせる結果を生む・・・


これが自身がしてきた事の罰なのか・・・


陳宮に信じてもらえたが、やってきた事が消えることは無いのだ・・・


曹清は天を仰ぎ、涙をこらえる。

「わかりました、側室を受け入れます。」

「ご英断感謝する、家臣の取り纏めてはしかと致しましょう。」

張遼は曹清の元から立ち去り、その姿が見えなくなったところで曹清は大粒の涙を流すのであった。

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