第180話 張遼達は見ていた
「袁尚がこっそり部屋から抜け出しただと?」
袁尚の動きはしっかり見張りを立てている、張遼は即座に袁尚の動きを追い後をつけていた。
「よくもまあ捕虜の分際で城内をウロつけるものだ。」
「ありゃろくでもない馬鹿だな。」
「違いない。」
張遼が袁尚を見つける頃には成廉、魏越も合流してきていた。
「おいおい、あそこは曹清様の部屋じゃないか?」
「どう見る、曹清様が呼び出した可能性もあるのか?」
成廉、魏越の曹清に対する評価は低い、袁尚が迷うことなく曹清の部屋に真っ直ぐ向かった事をふまえても有り得る話と考えていた。
「二人共、それは無いだろう。
さすがに落ち目の袁尚を相手にするとは思えん。」
「張遼こそ酷いな、あの馬鹿でも一応袁紹の後継者候補だろ?」
「まあ、それより、部屋の様子を確認するか。」
借りに曹清の悲鳴が聞こえるなら即座に踏み込むところなのだが、特に争う音も、声すら聞こえて来ない、張遼達は気配を消しつつ部屋の様子を確認するがすぐに袁尚が出てくる。
「もう終わったのか!」
「どれだけ早いんだよ!」
「とにかく部屋を確認する、成廉は袁尚の後をつけてくれ。」
「わかった。」
「失礼致す!」
張遼と魏越が部屋に入る。
だが室内には誰もいない。
「なるほど、留守だったから早く出ていったのか。」
「それならば曹清様は何処に?」
「・・・陳宮の部屋に向かうぞ。」
張遼は魏越を連れて陳宮の部屋に向かう。
「あっ、陳宮さま・・・」
二人が部屋に聞き耳を立てると二人が睦み合う声が聞こえてくる。
「張遼、どうなっている?」
「まあ、そういう事だな、結局陳宮の懐に入れるのは曹清様だったという事だ。
魏越行くぞ、さすがにこれ以上聞くわけにはいかないだろ。」
「ま、まあな、陳宮の喘ぎ声なんか効きたくないしな。」
二人はそそくさと部屋から離れていく。
そして、袁尚の後をつけていた成廉と合流する。
「袁尚は部屋に戻っているぞ、動いた事で酒が回ったのだろ、部屋に帰るとぐっすり寝ているようだ。」
「そうか、一応見張りは強化しておこう、さすがに今回のようにうろつかせる訳にはいかない。」
袁尚を客分のように扱ってはいるが婦女子の部屋に入り込むような真似をした以上、一定の抑制が必要だと判断し、この日から行動制限がつくことになる。
「さて、みんなに集まってもらったのは他でもない、陳宮が曹清様と致している。」
張遼は家臣達を集めて報告する。
「えっ?曹清様なのか?」
「大喬小喬のどちらかではなくて?」
「間違いない、俺と魏越が聞いてきた。」
「「聞くなよ!」」
「たまたまだ、陳宮の部屋を訪ねたら声が聞こえて来てな。」
「さすがに陳宮が可哀想に思うぞ。」
成廉は頭を抑える。
「中々、激しかったぞ。」
「聞いてねぇよ!」
張遼の答えに成廉も即座に返す、何が哀しくて仲間のやっている声を聞きたいのだろうか。
「まあ何はともあれ、子づくりに一歩前進だな。」
「だが、曹清様は色々噂のあられた方だ、その産まれて来る子は陳宮の子なのか?」
魏越は疑問を投げかける。
「それは大丈夫だろう、陳宮の元に来てからもそれなりに経つうえ、当初から嘘は言っていなかったからな。」
「張遼!気付いていたのなら言えよ!」
「あの時点ではどう動くかわからなかったからな、それに時間が経たないと本当に不貞があったかどうかはわからないだろ?」
張遼にすれば陳宮の相手が誰かなど気にしていなかった、今でも曹清である必要は無い。
「だが、これで曹清様に決まりか、大喬さん結構頑張っていたのにな。」
「俺は小喬さんを応援してたのだが・・・」
「何を言っている、陳宮の相手が一人である必要は無いだろ?
むしろ正妻とコトを始めたのだ、側室になるだろう二人に手をつけても問題あるまい。
何せ子は多いほうがいいからな。」
張遼の黒い笑みに周囲が引くのであった・・・
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