第79話 屋敷に
俺達は華歆と共に許昌に向かう事にする。
どうせ一度許昌に向かうのだ、華歆の安全を考えてもそれが一番大事な事なのだ。
「華歆殿、いくら積めば黙ってもらえる?」
「いくら積まれても黙りませぬなぁ〜」
俺の買収工作は上手くいっていなかった。
それどころか照れ隠しだと笑われる始末。
このままでは曹清の未来に汚点を残しかねない。
ここは一つ土下座で交渉を!
俺が土下座をしようとすると。
「陳宮様、駄目ですよ。華歆を困らしてはいけません。」
曹清が腕を組んで来て土下座が出来ない、そもそも腕を組む以上、華歆からは仲の良いことでと生暖かい目で見られている。
許昌が近づくごとに恐怖を覚えるのであった。
「帰って来ましたね陳宮さま♪」
「ついてしまった・・・」
俺と曹清は正反対の表情であった。
とはいえ、勅使で離婚となった以上、やるべきことをしていかなくてはならない。
まずは呂希が住む屋敷に向かう。
「なに?離縁したのになんで来るの?」
「いや、一応ここは俺の家で、これからの事を話し合いたいと思いまして。」
「はぁ?これから?何を言ってるの!私とあんたはもう別なの、いい二度と近寄らないでくれる!」
呂希に門前払いを受ける、まあ屋敷に俺の物は置いてないからいいのだが・・・
俺が屋敷から離れる前に俺が来たことを聞きつけた貂蝉が慌てるようにやって来る。
「貂蝉様!走ってはなりませぬ!」
身重の状態で走る貂蝉に俺は駆け寄る。
「これが走らずにいられますか!陳宮、あなたと呂希が離縁したと聞きました、あなたの留守に不届きな事があったことをお詫び致します。」
貂蝉は深く頭を下げる。
「貂蝉様、頭をお上げください、呂希様がご自身で良いお方を見つけられたのなら素晴らしい事では無いですか。」
「本当にそう思いますか?あの子は貴方の留守中に不義を働いたのです。」
「不義も何も私達は別段夫婦という関係をもっておりませぬ。
それより、貂蝉様は大丈夫なのでしょうか?
夏侯恩がどのような者かは知りませぬが貂蝉様とは縁の無き者、このままという訳にはいきますまい。」
「私の事より!貴方の事の方が・・・」
「いえいえ、貂蝉様は殿が愛されたお方、殿が亡き今、行末をご用意するのが家臣の役目と存じます。
幸い、張遼達もこちらに戻っておりますので一先ずそちらに落ち着かれてはどうでしょうか?」
「お言葉に甘えさせてもらいます。
何から何まで本当にありがとうございます。」
俺は貂蝉と共に張遼宅に厄介になりにいくのであった。
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