第41話 青州

俺は気を取り直し軍を進める。

「陳宮様あれは・・・」

曹清の顔色が悪い。

それもそのはず、青州に入ってから見える景色はかなり荒廃していた。


「袁紹の子、袁譚の統治が悪かったようですね。」

元々青州は孔子の子孫である孔融が治める豊かな土地だったはずなのだが、袁譚が統治を始めてから住民からの搾取を続けた為に民は飢え、食べれなくなったものが他者を遅い略奪し合う地獄絵図がところかしこで繰り広げられていた。


「陳宮様、どうにか出来ないのですか?」

曹清は悲しそうな瞳を向けてくる。

「そうですね・・・」

俺は食料の残量を考える、寿春の統治の為にかなり使っており、青州まで面倒をみる余裕は無い。


「臨淄を早く、落とすことで袁譚が蓄えている食料を取れれば民にも配れます。」

俺は推測的な、いや希望的な予測になるが臨淄に袁譚は搾取した物を蓄えこんでいるはず。


「可能でしょうか?」

「きっと・・・張遼、高順が落としている筈です。」

俺達は張遼、高順を信じるだけだった。


一方、一足早く臨淄に着いた張遼、高順は警戒の無さに逆に驚いていた。

「高順、罠じゃないよな?」

「ああ、偵察によると我らの噂すら流れていない、どうやら攻められるとは考えていないようだ。」

袁譚の軍は既に腐敗し、マトモに機能していない、その上、太守の袁譚が留守となれば真面目に職務をするものがいなくなっていた。


「警戒しながら落とすか。」

「そうだな。」

合図とともに臧覇の部下に門は開かれ、張遼達は簡単に城内を制圧する。


「高順潜んでいる兵がいないかしっかり調べるぞ。」

張遼は罠の可能性も考えじっくり調べるものの何も出てくる事は無かった。

「袁譚は何を考えていたのだ・・」

警戒の無さに呆れながらも簡単に落とせた事は重畳であった。


「張遼は国境を見張れ情報を遮断しろ、俺は周囲を慰撫しておく。」

高順はあらかじめ陳宮から受けていた指示通りに行動する。

袁紹に知られる前にどれだけ青州を支配下におけるかで勝敗の行く末が決まるのだ。

時間との戦いが始まっていた。

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