第42話 急ぎの道中

高順、張遼の働きはすぐさま伝令を通して俺の元に届く。

「臨淄が落ちたか、思ったより早く落とせたな。

さすが高順と張遼だ。」

呂布軍の騎馬隊を最強たらしめた二人の活躍に俺は喜ぶ。

「曹清様、少し急ぎます、はやく 臨淄に入り指示を出せねばなりませぬゆえ。」

「ええ、お急ぎください、たとえ私の具合が悪かろうとお気になさらず。」

街道を行くとはいえ馬車はかなり揺れている。

速度を上げれば酔う事もあるだろう。


「申し訳ありませぬ。」

「いいんです、その代わり、少し掴まっていてもいいですか?」

「ええ、それぐらいは・・・」

曹清は俺の胸元にしなだれかかる。


「曹清様?少々近いかと・・・」

「この方が楽なのでございます。

ダメでしょうか?」

「いえ、ダメではないのですが・・・」


成廉が馬を寄せてくる。

「陳宮、イチャつくのはいいが、そろそろ速度を上げるぞ。」

「イチャついておらん!サッサと速度を上げろ!」

「へいへい、おいお前ら速度を上げるぞ、曹清様しっかり陳宮に掴まってください。」

「くくく、色ボケ陳宮め、天下に恥をさらせ!」

魏越も楽しそうに俺を指差し笑っている。

「お前ら何を企んでいる!」

「おら、最速だ!魏越歩兵は任せた。」

成廉が速度を上げる、騎兵と歩兵は一時ここで分かれ、魏越が歩兵を纏めて臨淄まで連れてくる予定で、俺達は一足早く臨淄を目指すのだが。


ギュ!


曹清は馬車が揺れるのに合わせて抱きついてくる勢いだった。

「あ、あの曹清様、少しお離れになっても。」

「だめです、落ちちゃうかもしれませんからね♪」

曹清からはどこか楽しそうな声が聞こえる。

「いえ、少しぐらいは離れても・・・」

「離れません♪」


成廉だけでなく騎兵達の笑い声も混じっている。

「お前ら見世物じゃないぞ!」

「見世物だ!」

騎兵達に笑われながら臨淄まで駆け抜けるのだった。


「高順、ご苦労さま。」

臨淄に着くなり高順に労いの言葉をかける。

「陳宮も色々大変だったみたいだな。」

高順もどこか笑いを堪えているフシがある。


「お前も知っているのか?」

「報告は受けている、曹清様と仲が良くて何よりだ。」

「笑いたければ笑え!」

俺の言葉に待ってましたかと高順は大きく笑う・・・


「それより、備蓄について聞きたい、臨淄の蓄えはどうなっている。」

「財物、食料ともに豊富にある、よくもまあこんなに貯め込んだものだな。」

「詳しく聞きたい、特に食料についてだ、資料を持ってきてくれないか?」

「既にお前の部屋に運んである。案内しよう。」

「助かる。」

俺は自身にあてがわれた部屋に向かい資料を読み必要数を計算するのであった・・・

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