第43話 青州支配

臨淄に蓄えられていた食料はかなりの数になる。

財物もかなり蓄えられており、これを売り捌いて食料を買えば充分に賄える。

「よし、これなら・・・」

俺は支配下に入った住民に炊き出しを行う事にする。

統治者が代わった事を知らせる為にも都合がよかった。

「これからこの地は曹操の支配下となる!

だが安心しろ!曹操は民を飢えさせたりはしない!

さあ、並んでくれ。」

俺は住民達に曹操支配下になったことを伝える。

それと同時に行われる炊き出しに住民達は感謝を覚えていた、そんな中、曹清は俺と共に炊き出しの視察に訪れていた。

俺は自ら顔を出すことで住民に親近感を持ってもらおうという計画なのだが、曹清は俺が止めるのも聞かず自ら率先して視察に来たがっており、俺は曹清の警備の観点からも一緒に視察となっていた。


「皆さん、慌てないでください、量は充分にございます。」

曹清自ら椀に注ぐ事もあり、軍に不似合いな曹清の姿は住民達の中でも噂になるのは当然とも言えた。


「あの方はどなたなんだい?」

住民の中には兵士にたずねる者もいた。

「あの方は曹操様の長女、曹清様だ。

あの方が青州の民の苦難を見かねて我らが赴いたしだいなのだが・・・

率先して動かれる御方でな、見ての通りここまで来てしまったということだ。」

「そこまで私達の事を・・・」

袁譚に搾取されすぎていた住民達に曹清の慈悲は染み渡るものがあった。


「曹清様のおかげで住民も一安心したようにございます。」

「私は何もしておりません、全ては陳宮様のご活躍の賜物でございます。」

「いえ、曹清様の存在が民の拠り所となっているのです。」

俺は兵士を通じて、幼い身でありながら危険を顧みず都から青州を救うためにやって来た姫君という噂を流していた。


これにより、曹操軍の侵略という悪評を防ぎ、青州を救うために来たという大義を得る。

わかりやすい物語が一番受け入れられる・・・

青州の民は反抗を抱く事なく曹操軍を受け入れ、統治にも協力的になるのだった。



「陳宮、袁紹からの使者、」

青州を纏めている中、張遼が一人の男を捕らえてきていた。

「袁紹の使者?それなら何故捕らえている?

外交の使者なら礼を持たねばならぬだろ?」

張遼は礼節を知る漢である、意味も無く捕縛するとは考えられない・・・


「傑作だぞ、この男はお前の結婚祝いの使者の張郃殿だ。」

「はあ?・・・はあぁぁぁ!!」

俺の目が点になるのだった・・・

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