第150話 南皮攻め

「陳宮、南皮をどう攻める?」

俺達は浮陽に入り軍議を開く。

「魏越、いつもの手だ。」

「なるほど、俺が袁紹軍に化ければいいか?」

「今回は袁譚からの命令書を作った、魏越には袁譚の要請を受け北方より集められた軍の先陣ということにする。

我らは後方に待機、魏越が門を抑えた所で突入する。」

「陳宮様、それは流石に無理があるのでは?

魏越殿の身が危険すぎると思います。」

陸遜は魏越を心配する、事が露見すれば魏越は敵に囲まれ無駄死にになる。


「陸遜殿、俺の心配はありがたいがこれが俺達の戦い方だ、なに、陳宮の書状を見破れる奴なんていないさ。」

魏越は軽く言うが陸遜にしては有り得ない作戦である。


「陸遜、陳宮様の戦い方を見てようではないか。」

共に傘下に入った甘寧が陸遜を抑える、賊上がりの甘寧にしてみれば、単純に攻めるより楽しめる戦い方だった。


「陸遜まずは見てくれ、甘寧、趙雲は突撃することも考えてくれよ。」

「はっ!」

俺は軍議を終える、まあ軍議というより魏越に無理をさせようという話なだけなのだが・・・


簡易な軍議ののち、当然かのように南皮に向かっていた。

「我らは袁譚様の招聘により、蔣義渠様が援軍に向かわれている、南皮にて一晩の宿をお借りしたい、入城願えるか?」

「これは袁譚様もお喜びになられるでしょう、」

「うむ、これが袁譚様の書状である、留守居役の者に確認を頼む。」

「少しお待ちを。審栄様にご確認して来ます。」

門番は審栄に確認を取りに行く。


「なんと蔣義渠様が援軍に来られたのか!失礼があってはならない、私も出迎えに向かおう、皆、宿所を用意いたせ、今宵は酒宴を開いて出迎えようではないか。」

審栄は袁紹の重臣審配の甥である、その為に南皮の留守居役を任されているのだが、年若い審栄としては戦場にて活躍したい。

あわよくば歴戦の勇士である、蔣義渠に気に入られ、戦場に連れて行って貰えないかと考えていた。


「お待たせした、蔣義渠将軍は何処に?」

「城外にてお待ちしておられる、すぐに使者を出しましょう。」

「皆聞いたな、城外に出て出迎えるのだ。」

審栄は気に入られる為、主だった者達を城外に並べ最高の礼で出迎えようとしていた。

そこには警戒心の欠片も無い・・・


「こいつらバカなのか・・・」

あまりの警戒心の無さに魏越は呆れてしまうが、アッサリ終わる事に問題は無い。手勢を移動させて門を掌握する。


「ようこそ起こしくださいました、私が南皮を預かる審栄にございます。」

「出迎えご苦労さま?皆捕縛しろ。」

「なっ!蔣義渠将軍血迷われたか!」

「残念、蔣義渠殿じゃないんです。成廉、魏越の援護に向かえ、張遼は南皮から向かう伝令を捕まえろ。

陸遜、甘寧、趙雲は俺と一緒に入城しようか。」

内地とはいえ、警戒心の無さに袁紹軍の脆さを感じながら、指揮官を抑えられ敵対することが出来なくなった南皮を制圧するのであった。

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