第234話 出陣前に

「張遼、軍の準備は出来てる?」

「当然だな。」

「ならば行こうか、高順、陸遜は平原に残り袁尚の動向に注意してくれ、どさくさ紛れに攻めてくる可能性があるからな。」

「わかった。来たら後悔をさせてやろう。」

高順なら袁尚に遅れを取ることは無い、俺は安心して任せられる。

「陳宮様、既に備えは出来ております。

くくく、全てを燃やしてさしあげましょう。」

陸遜はどうやら書類業務のストレスを火計の準備で晴らしていたようだ、軍略に明るい陸遜の事だ、袁尚を手玉に取ることも容易いだろう、あとは燃やしすぎの不安だけがあった。


「二人なら大丈夫だろう、成廉、魏越、張郃、趙雲、甘寧には一軍を率いてもらう、いいか?」

「おう!」

「任せろ!」

「はっ!お任せあれ。」

「御命令のままに。」

「腕が鳴るぜ。」

各自が承諾の声を上げる。


「よし、それじゃ高幹退治と行こうか。」

「お待ち下さい!」

冒白が声を上げる。

「冒白殿どうしましたか?」

「憎き高幹を討つのに我等を置いていくおつもりですか?

夫袁煕にも一軍をお与えくださいませ!」

「おい、冒白陳宮様に意見をするなんて・・・」

袁煕は冒白を止めようとしている。


「袁煕には本陣で見てもらおうと思っていたけど・・・」

「戦場で戦わぬは漢の恥と夫袁煕は言っております!何卒陣容の一角にお加えくださいませ。」

俺は袁煕の方を見るが凄い勢いで首を振っている、どうやら奥さんが強いのは俺だけじゃないようだ。

「わかった、あまり多くの兵は渡せぬが一軍の将として参戦してもらおう。」

「ありがとうございます。」

「・・・ありがとうございます。」

満面の笑みを浮かべる冒白と違い、戦いたく無さそうな表情を浮かべる袁煕がそこにいた。


「ならば出陣だ、高幹を倒すぞ!」

「「「おお!!」」」

俺達は高幹に向かい出陣していくのであった。

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