第174話 窮地に
「くそっ!なんでこんなに後ろにいるんだよ!」
曹真は囲まれながら自身も槍を振るい戦うが次から次へと現れる敵に対応出来なくなってきていた。
「救援を求めろ、どうやら俺に集中しているみたいだ!他の空いている奴らを呼べ!」
曹真は慌てて救援を求める伝令を放つがそれは反対側で戦う、曹休も同じであった。
「両者から救援だと!」
夏侯充の所には曹真、曹休からの援軍要請が届く、片側なら自分が行けばいいが反対側となるとそうもいかない、少し思案していると前方の夏侯徳からも伝令が駆けてくる。
「夏侯充様!救援を!我が夏侯徳軍敵に囲まれ窮地にございます!」
「な、なんだと!」
「夏侯充様、後方に敵軍の旗が・・・」
時をおかずして後方にも袁紹軍が現れる、既に夏侯充達は囲まれていた。
「くっ、血路を切り開くぞ、全軍に連絡我に続き後方に向かい突撃せよ!」
夏侯充は後ろについたばかりの後方が一番守りが薄いと予測し自ら先頭に立ち突撃する。
「後ろが薄いと予測しましたか・・・愚かですね。」
沮授が合図を送ると夏侯充の後ろに回った部隊が少しずつ後退する。
「敵を押しているぞ!このまま突破するのだ!」
「夏侯充、囲まれたというのは本当か!」
曹休がいち早く戦いを止め夏侯充と合流していた。
「ああ、同時に攻められていた、曹真、夏侯徳にもこちらにも来るように連絡したのだが・・・」
周囲を見るものの、曹真、夏侯徳の姿は無い。
「まずは突破口を開ける事だ、いく・ぞ・・」
曹休が槍を振るおうとした瞬間、袁紹軍の旗が目の前に広がる。
「何故だ、なぜこんな大軍が後ろにいるんだよ。」
夏侯充と曹休は目の前にいる袁紹軍の大軍に突破出来る気がしない、それは連れている兵士も同じであった。
「曹操軍よ、降伏せよ!」
袁紹軍から声が響く。
「降伏だと・・・」
「既にお前達は囲まれている、このまま壊滅させても良いが私は無駄な殺生は好まない、大人しく降るなら命の保証はしよう。」
「・・・夏侯充どうする?」
「このまま戦えると思うか?」
曹休は周囲の兵士を見るが大軍の登場に多くは心を折られている。
「無理か・・・」
「わかった、我々は降伏する・・・」
夏侯充は既に戦えない状況になっている事に諦め降伏するのであった。
「わかった、武器を捨て、大人しく我らに従え。」
夏侯充達は抗う事もせず大人しく指示に従う。
「よし、このまま撤退する。」
沮授は曹操軍を叩く事で士気の回復に成功させ、撤退を完璧なものとするのであった。
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