第173話 追撃
「袁紹様、後方に曹操軍が見えました。」
「曹操が?俺をなめているのか?」
袁紹からすれば曹操が仕掛けて来たことが意外であった。
備えこそしているものの、実際に来るとは思っていなかった。
戦に敗けてからの撤退ならいざ知らず、隊列を揃え、整然と引き上げているのだ、罠の一つや二つ用意してあることぐらいは当たり前である。
「曹操とて全軍を纏め上げるのに苦労しているのでしょう。
ですが好機ですな、ここで勝って敗戦で下がった士気を取り返しましょう。」
「うむ沮授に指揮を任せる我軍のチカラを示すのだ。」
袁紹は全軍を沮授に預けて先に鄴に引き上げるのであった。
「よし、追いついたか。」
夏侯徳の前には袁紹軍の最後尾が見えていた。
「くく、油断しているな、先の戦の借りを返させてもらおう!」
夏侯徳は追い付いた勢いそのままに袁紹軍の後陣に襲いかかる。
「敵だ!曹操軍が来たぞ!」
袁紹軍はロクに戦うことなく全速力で逃げていく。
「なんと、脆いものだ!これが曹操軍との違いだ!」
夏侯徳は以前の戦で連れていた兵士の殆どは急遽集めた私兵であり、訓練が行き届いていなかったせいでチカラを出せずに敗けたのだと考えていた、今回は曹操の正規兵を連れてきているのだ、袁紹軍など敵では無いと本当に考えていた。
「夏侯徳、勝手に突撃するな。」
戦闘が終わった頃合流した夏侯充が夏侯徳をたしなめる。
「機を逃さない為には仕方無かったのだ、なにまだ袁紹は討てて無いからな、手柄は残っているぞ。」
「それはそうだが、くれぐれも無理はするなよ。」
「無理のしようなんてないさ。」
話す二人に戦の声が聞こえてくる。
「どこからだ?」
「左右から聞こえる、曹真、曹休も戦を始めたみたいだな。
おっと、前からも来たか。
少し戦ってくるさ!」
夏侯徳は自軍を率いて目の前の敵に突撃していく。
「夏侯徳、代わろうか?」
「大将はのんびり待ってな!」
この時、既に3方向から攻撃を受けていることに気付けば・・・
経験の少ない夏侯充はこの時、自軍の強さを信じて疑っていなかった。
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