第207話 反乱

「後継者はこの袁尚だ!」

袁紹の葬儀が終わった瞬間、袁尚が宣言する。

「待て、何を勝手な事を言っている、兄を差し置いて後継者などを名乗る事など許されん!」

「落ち着け兄上、袁尚も葬儀が終わってから話し合うという事であろう、まずは席につこうじゃないか。」

袁譚、袁尚が争う中、袁煕が宥めて席に座らせる。


話し合いが開始される前から不安要素しか無かった。


「「後継者は私だ!」」


袁譚、袁尚はどちらも譲らず話は平行線であり、互いの派閥も息を荒らげ激論を繰り返していた。


そんな中、高幹が兵士を連れて室内に入ってくる。

「高幹殿、その兵士はなんですか!」

「袁紹様の跡は私が継ぐ、反対する者はいるか!」


「なっ!何を言っている!

そんな事は・・・ぐふっ。」

高幹に詰め寄ろうとした審配はそのまま兵士に刺される。

「高幹!貴様これは反乱だぞ!」

「そうだ!許される訳が無い!」

袁尚、袁譚は腰が引けながらも高幹を批難する。


「お前達に任せていると袁紹様が起こした国が無くなってしまうわ!

国を思うのなら我に従い曹操に備えるのだ!」


「高幹殿、貴殿がしようとしているのは簒奪でございます。

そのような者に従う者は多くありますまい。

必ずやその酬いを受けることになりましょう。

さあ、兵を収めなさい、今ならまだ間に合うかも知れませぬ。」

沮授は一歩前に出て高幹に諭す。

その行動が死に繋がっている事は誰の目にも明らかであった。


「沮授殿、あなたには降ってもらいたいのですが?

どうだろ、民の為に私に従ってくれないか?」

「私は袁紹様に大恩ある身、跡目の簒奪を見逃す訳にはいきませぬ。

たとえ死したとしてもその信念を曲げるつもりはありませぬ。」

「残念だ。」

高幹は一閃、沮授の首を刎ねる。


「他に文句があるやつはいるか!」

高幹は周囲を見回す。


「おい、誰か・・・高幹を始末しろ!」

袁譚は大声で周囲に命じるが動く者がいない。

「おい、聞いているのか!」

どれだけ叫んでも袁譚の命令を受ける者はいない。


「袁譚、お前には死んでもらう。悪いな。」

「や、やめろ!来るんじゃない!私は袁紹の嫡男、袁譚だぞ、こんな所で死んでいい男じゃないんだ・・・

父上、助けてください!父上!!」

高幹は袁譚の首を情け容赦無くはねた。


「うん、袁尚と袁煕はどこだ?どこにいった?」

部屋に襲撃した時にはいたはずの二人の姿が見えない。


「高幹様!裏に抜け道があります!」

兵士が室内を探すと袁紹が座っていた椅子の下に抜け道があった。

沮授と袁譚に意識が集中している間に二人はにげだしていたのだった。

「こんなところに・・・探せ!二人を見つけ出すのだ!」

高幹は二人に追跡の兵を差し向ける。


その間に重臣達は高幹に捕まり、鄴は高幹の手に落ちるのであった。

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