第252話 曹昂と曹清
「陳宮、すまない。」
寝所から動けない俺に曹昂が訪ねてくる。
曹昂は曹操に反対したものの止めることは出来ず、曹操から置いて行かれる形で陳留の留守を任されていた。
「曹昂様、曹操が天下を取るのにあのような暴挙を許してはいけません。」
「わかってはいる・・・だが父上を止めることは出来なかった。」
「それでもです、厳しい事を言いますが止めなくば天下が敵となります。」
「肝に命じておく。」
曹昂は止めれなかった自分の無力さを噛み締めていた。
「曹昂様、今の無念をお忘れにならないようにお願いします。」
俺はこの経験を積んだ曹昂なら曹操の天下を継ぐ事ができると感じていた。
「お兄様、来ていたのですか?」
曹清が薬湯を持ってやってくる。
「曹清、何をしている?」
「何をって看病です、陳宮様はお体を痛めておいでなのですからお兄様も配慮してください。
さあ陳宮様、お薬湯をお飲みください。」
曹清は自分の無力を感じた日から城に勤める医者に頼み医術を勉強する傍ら、俺に薬湯を運ぶ手伝いをしていた。
「くく、曹清、陳宮の世話をしているのか?」
「そうです、陳宮さまのお世話をしていますよ。」
「・・・曹昂様、何が言いたいのです?」
たちの悪い笑顔を見せる曹昂に質問する。
「いや、随分と懐かれたものだとな。」
「曹清様がお優しいだけです。」
「そうです、お兄様は何が言いたいのですか?」
「曹清、陳宮は見ての通りのブサイクだが気にならないのか?」
「お兄様、見損ないました!陳宮さまを悪く言うなんて!
それに陳宮さまはブサイクなんかじゃ無いです。
・・その、カッコいいというか、ドキドキするというか・・・」
曹清はモジモジしながら恥ずかしそうに言う。
「おいおい、本当か・・・」
曹清の゙反応に曹昂は目を丸くして驚いていた。
「曹清様はお優しいですね。
ですが見た目については諦めていますので正直に言ってくれてもよろしいのですよ。」
「そんな事ないです!陳宮さまはカッコいいです。」
「ありがとうございます。
そんな事を言われたのは初めてですね。」
俺はつぶらな瞳で一生懸命弁護してくれている姿にほっこりする、その傍らで『えっ、マジか?』って表情を浮かべる曹昂の゙姿があった。
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