第157話 一斉攻勢

高順はずっと袁譚、袁尚の陣が乱れるのを待っていた。

徐盛に命じ、昼夜に問わず様子を確認していた・・・

「高順様、夜にも関わらず、煮炊きの煙が増えております。」

「動きがあるか・・・

こちらも戦う準備をしろ。」

高順は情報を確認しながら戦う準備する。

「申し上げます、敵軍北方に向け進軍する様子にございます。」

「陳宮がやったな、全軍渡河をするぞ、火はそのままにし、密かに対岸に渡る。徐盛頼んだぞ。」

高順は袁紹軍の動きから陳宮が行動を起こしたことを知る。そして、それは待ちに待った攻勢の時なのだ。


徐盛は船を操り、袁譚、袁尚の見張りの少ない場所に上陸し、一気に制圧していく。


「深追いはするな!目にうつる敵だけでよい!」

高順は暗闇における深追いを避けつつ、敵軍が混乱するように陣内を荒らしまくる。


「報告!敵将袁尚、退却した模様にございます。」

「敵将袁譚が8万を連れて南皮に向かったとのことです。」

「わかった、ここが片付けば袁譚を追う。

まずはこの地を制圧するぞ!」

高順の命令の元、黄河対岸にあった港の多くを制圧する。


「さて、こっちは片付いたか、陳宮は上手くやってるだろうな。」

高順は一戦を終え、北方を見ながら呟いていた。


その頃、俺は準備を万全に整え、袁紹軍の到着を待っていた。

「陳宮様、袁譚軍8万こちらに向かい物凄い速さの進軍でこちらに向かって来ております。」

「少しは兵士の事を考えろよ・・・

まあ、俺達には都合がいいが。

陸遜、罠の準備は出来ているか?」

「万全にございます。」

「なら始めようか。」

俺は袁譚軍が南皮を取り返す為に一度兵を休ませる場所を予測し、罠を仕掛けていた。


「さて、陣も張らずに休養か、油断し過ぎだ。

まあお前の醜悪な罠にかかる獲物かと思えば、少し哀れにも思うな。」

俺はニコニコしている陸遜をみる。


「今です、火を放て!」

陸遜が仕掛けた罠、それは火攻めであった。

袁譚が休養を取ろうとした場所こそ、罠の中心であり、一気に火の手は袁譚軍を飲み込んで行く。


「おいおい、ここまでの火計のつもりは無かったんだが。」

俺は陸遜が準備した火計に驚きの声が出る。

「これです!これこそが計略の華!見て下さい!人がゴミのようだぁ!」

驚く俺の横で感嘆極まった陸遜が叫んでいる。

「落ち着け陸遜。」

「あはは・・・燃えろ!もえろ・・・

おっと、失礼しました。つい、計略の成功が嬉しくて興奮してしまいました。」

「ああ・・・

まあ、予定より燃え広がっているが、今が攻め時だな。」

「ええ、恐怖で逃げ惑えるよう火を調整しております、今なら各個撃破の良い機会にございましょう。」

陸遜の言葉の中にただ燃やしているだけではない事が聞こえてくる、俺としては恐ろしさも感じるのだが。


「張遼、時は来たぞ、戦は任せた。」

「了解だ、趙雲は陳宮の守りにつけ、それ以外は俺と共に突撃を仕掛ける。」

「「おお!!」」


「陳宮様の身は私が守りますゆえ、ご安心を。」

「趙雲、頼りにしている。」

俺は陸遜と共に趙雲に守られ一歩引いた所で戦の顛末を見ることになる。


「我こそは陳宮軍にその人有りとうたわれた張遼なり!勇ある者は我が前に立ちはだかって見せよ!」


火の手に迫られ分断されている部隊に襲いかかる。


「敵軍か!我こそは袁紹軍で武勇を知らぬものはおらん蔣奇である!いざ尋常に!」

「聞いたこともないわ!」

張遼は一刀のもとに切り捨て次に向かう。


「やるねぇ、流石に陳宮の信頼厚い武将だ、だが、単純な武勇で俺が負けるつもりは無いな!

我こそは陳宮軍最強の漢、甘寧である!死にたいヤツから前にでろ!」

甘寧は目の前の敵を斬り伏せながら大声で叫ぶ。

「何が最強だ!この孟岱の敵ではな・・・」

「黙れ雑魚が!」

甘寧もアッサリと始末していく。


「孟岱将軍!!」

「向こうで蔣奇将軍も討たれているぞ!」

アッサリと二人の将軍が討ち取られた事で袁譚軍に動揺が走る。


「全軍、逃げ惑う敵将を狙え。」

張遼は冷静に各将に連絡、敵将を討ち取り向かわせるのだった。

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