第268話 連絡

「劉備を叩くというが今するべき程の事か?」

俺が曹操に進言すると曹操は不思議そうな表情を見せる、それもそのはず当面の敵は袁尚、高幹の予定なのだ、反対方向の荊州にいる劉備にちょっかいをかけるとその後ろ盾の劉表が出てきかねない。

今、戦線拡大になる戦を仕掛ける理由が見当たらない。


「袁尚は高順に任せているし、高幹は夏侯淵があたるだろ?

お前は動かなくとも、俺が動けば劉備を叩くぐらいは出来る。」

「確かにお前なら難なく倒せると思うが・・・」

曹操は乗り気ではない、現在陳宮は曹操に引けを取らない勢力を持っている、荊州まで手にした時陳宮が対等以上の勢力になることを懸念していた。


「まあ、曹操が言いたい事はわかる、そこで名だけになるが総大将は曹彰に任せたい。」

「いいのか?」

「俺は別に天下が欲しい訳でも無い、荊州が欲しくて言っている訳じゃないからな。

ただ、将兵には充分な褒美を用意してくれるか?」

「それは任せろ、ならば陳宮、劉備攻めを頼んだぞ。」

俺は曹操の許可を取り、劉備が領有する新野に向い進軍を決めたのであった。


「陳宮、劉備はそれほど危険か?」

仲間を集め会議を始めると張遼が第一声で聞いてくる。

「今回の増強は理に叶っている、放置すれば厄介になりかねない、だが今ならつけ込む隙がありそうだ。」

「お前がそう感じるなら俺達に異論は無い、後は勝つために全力を尽くすだけだ。」

「そう言ってもらうと心強いな。

曹彰今回は悪い事をしていると思っている、本当にすまない。」

俺は曹彰に深く頭を下げる。


今回はお飾りの総大将として、据える事になってしまっている、余裕があれば曹彰に指揮をさせてもいいのだが、今回の劉備の軍師は龐統が警戒するような相手である、曹彰に指揮をさせて何かあれば大問題になる為、あくまで見るだけになってしまっていた。


「先生、お気になさらず、総大将として先生の戦いぶりを見れるのは弟子として最高の場にございます。

ましてや私は若輩の身、御指導に感謝こそあれ、先生が頭を下げる必要などありませぬ。」

曹彰の表情からは不満を感じることはない、むしろ戦に出れる事に喜びを感じている様子だった。


「陳宮様、ご無事をお祈りしてます。」

曹彰の隣に控えていた曹憲が笑顔で戦の無事を願ってくれる。

「曹憲様、曹彰の無事を祈ってください。

私はなんとでもなりますので。」

「お兄様こそ、なんとでもなります。

私は陳宮様のお身が心配なのです。」

「ありがとうございます。」

俺は曹憲にお礼を言う。


「それで陳宮様、どのような戦略をお考えなのでしょう?

私にも教えてくださいませ。」

曹憲は俺の隣にやって来て戦略を聞いてくる。


「そうですね、言える範囲になりますが・・・」

俺はおおまかな戦略を曹憲に伝えるのだった・・・

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