第269話 孫家
俺は軍を編成する中、徐州から孫香を呼び寄せる。
「陳宮様、ついに私を娶っていただけるのですね!」
到着早々、寝室に駆けてきた孫香に俺は押し倒されていた。
「孫香様、私の前で何をなさっているのでしょうか?」
俺と寝所をともにしていた曹清が笑顔を引きつらせて話しかけていた。
「あら?いたのですね?
ですが私は陳宮様に呼ばれて参ったのです。
昨日の女の方はお下がりになられた方がいいのでは?」
「お情けもいただけない方は言うことが負け犬のようですね。」
曹清と孫香は互いに睨み合い牽制し合っていた。
「二人共落ち着いて、孫香殿、お呼びしたのは少しお話があったからです。」
「ええ、ですので側室になるというお話では?」
曹清からジト目が飛んでくる。
「違います。
私達はこれから劉備と戦をするのですが劉備の後ろ盾である劉表との戦もあると考えております。」
「劉表ですか。」
孫香の表情が険しい者になる、孫香にとって劉表は父孫堅の仇である、名を聞くだけでも憎しみが湧き上がる。
「そうです、そこで孫権殿も一緒に戦をしないかとお誘いをしたいのです。」
これまで孫権とは友好的な関係を築けてきている、仇である劉表を俺が討伐した際、孫権とて面白い話では無いだろう、孫香を通して一報入れることで孫権に配慮を示していた。
「ありがとうございます、兄も必ず出兵すると思います。」
孫香は喜び、急ぎ孫権に書状を書いたのだった。
「孫香から急使だと?」
孫権は妹から急使として届いた手紙を読む。
「・・・周瑜!周瑜を呼べ!」
孫権は急遽周瑜を呼ぶ。
「孫権様、如何になされた?」
「これを見よ。」
孫香からの手紙を読み、陳宮との共闘の提案を見る。
「孫堅様の仇を討てると・・・」
「陳宮殿なら自軍だけでなんとかしそうだが我等に配慮して声をかけてくれたのだろう。
周瑜よ、我等も長江を登り劉表と一戦交えようぞ!」
「はっ!孫堅様の仇を他に取られるは我等に取って恥にございます。
全軍を上げ劉表に当たりたいと思います。」
「周瑜よ、此度は私も出る孫家の威信をかけた戦いとなろう。」
「ならばこの周瑜、孫権様の露払いを致しましょう!」
こうして孫権は全軍とも言える7万の軍を用意し進軍を開始する。
戦力を増強しただけの劉備にとって、劉表の存亡をかけた大戦となろうとしている事に想像もしていなかったのだった。
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