第270話 劉備軍
陳宮が戦の準備をしていることは遅れながらも劉備の下に届くのだが・・・
「ついに袁尚との決着をつけるのか・・・」
陳宮は事前に袁尚攻めだと噂を流布しており、劉備攻めという事は伝わって来ていなかった。
「劉備様、陳宮は本当に袁尚攻めなのでしょうか?」
諸葛亮は陳宮の動きに違和感を感じていた。
曹操陣営が疲弊している為に歩調を合わせ北への出兵を取りやめていた事は既に情報が入っている、その為に未だ立て直しが出来ていない曹操軍を待つ意味合い的にも今袁尚攻めは無いのではないか、ならば狙いは・・・
諸葛亮は劉備に攻めてくる可能性を検討するのだがいまいち確証を得ない、優れた策謀を持つ陳宮が戦線拡大に繋がる劉備、いや後ろ盾となっている劉表と敵対するのだろうか?
諸葛亮は新参者であるがゆえに間違いは許されない状況であった、張飛を筆頭に軍師に理解が無い者が多い劉備軍で今後指揮を取るには初戦で目に見える戦果が欲しい。
諸葛亮は入ってくる情報を精査し、密かに備えるぐらいしか動けなかった。
「申し上げます、劉表様より使者が参り、孫権軍に侵攻の兆しがあり、劉備様に孫権に備えて欲しいとの事にございます!」
「なんだと、それは一大事、この劉備すぐに援軍に参ります!」
支援者でもある劉表の援軍要請に断る事は出来ない、劉備は深く考える事も無く承諾する。
「お待ちください、陳宮に動きがある今、兵を動かせば隙をつかれかねません、劉表殿は防備をしかとしております、我等は北の曹操、陳宮に備えるべきです。」
諸葛亮としては陳宮が来る可能性が捨てきれない、少なくともハッキリとしたことがわかるまでは軍を動かすべきではないと考える。
「おい!諸葛亮てめぇには恩義ってもんはないのか!」
張飛は激昂のまま諸葛亮を怒鳴りつける。
「恩義の話ではない、私は軍師として劉備様に最善の道を示す必要がある。
少ない兵で曹操、いや陳宮を抑えられると思うのか!」
「うるせぇ、恩義を忘れちゃ筋が立たねぇ、劉兄が筋の立たねぇ事をするわけがない!」
張飛の言葉は義侠に生きる劉備を慕っている家臣達を代表していた。
「張飛、落ち着け、諸葛亮の言う事もわかるが劉表殿の依頼を断れば今後の援護は望めなくなるだろう。
そこで関羽に1万の兵を預け新野を任せる、我等は五千の兵を率いて援軍に向う。」
劉備は数は少ないものの自身と主力を連れて向う事により劉表への義理を果たし、関羽に兵の多くを預けることで防衛にあたろうとする。
「劉備様、それだと各個撃破されてしまいます。」
「諸葛亮、お主の言いたい事はわかるが劉表殿を見捨てる訳にはいかない。
関羽なら三倍の兵で攻められても守りきれるだろう。」
「・・・劉備様の意志が堅いのなら、臣としてこれ以上は申し上げません。
ただ、徐庶を軍師として新野に残してもらえませぬか?」
「わかった、徐庶よ。
関羽の軍師として新野を守ってくれ。」
「かしこまりました。」
徐庶は恭しく礼をする。
「へん、関羽の兄貴なら軍師などいらねえよ。」
張飛は諸葛亮を嫌っており、最後まで悪態をつくのであった。
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