第83話 曹操の謝罪と

「陳宮すまん!」

曹清に食事に案内されると其処には曹操が待ち構えていた。

「お父様、何のご用事ですか?」

冷たい曹清の言葉から曹操の来訪を知らなかったのだろう。


「陳宮に謝罪をだな・・・」

「陳宮様は御心に傷を負っているのです、それをお父様が蒸し返してどうしますか!

さっさとお帰りください。」

「まあまあ、曹清様、俺も曹操に少し話がありますので。」

「そうですか・・・お父様、くれぐれもお言葉にはお気をつけてください。」

「はい・・・」

曹清に叱られ少しシュンとなっている曹操の姿は少し笑えた・・・


「それで陳宮、話とは?」

俺達は食事をしながら話し始める。

「ああ、勝手に軍を動かしていたからな、その謝罪をしておこうと思ってな。」

「それは必要ない、お前のお陰で戦に勝てたのだからな。」

「俺だけじゃない、仲間達や曹清様がいたからこその手柄だ。」

「曹清が役に立ったか?」

「俺が生きているのは曹清様のおかげだな。」

「そうか、それならこれからも曹清を頼むぞ。」

「これから?曹清様は都におられるのだろ?」

「何を言ってる、お前と共に行動するに決まっているじゃないか。」

曹操が当然かの如く言ってくる。


「おいおい、ボケたか曹操。

曹清様の歳を思えば、都にいて次世代の者との関係を深める頃だろ?」

「お前こそ嫁入り前の娘と寝所を共にして、挙げ句帝にまで二人の仲が知れておるのだ、お前に娶って貰わねばならんだろ?」

「えっ?」

俺の目が点になる、曹操はいったい何を言っているんだ。


「おい、曹操、曹清様のお気持ちもあるような話では無いか、そんな簡単に決めるな。」

「ふむ、つまり曹清の気持ちがハッキリすればいいのだな?」

「だから、それだけじゃなく!」

俺の反論を聞く前に曹操は曹清に声をかける。


「曹清、陳宮の所に嫁に行く気はあるか?」

「お父様、長年育ててくださりありがとうございます。

私は陳宮様の元にまいりたいと思います。」

曹清の言葉に迷いは無く、アッサリ曹操に別れを告げている。


「曹清様!ご冗談はそれまでにしましょう、曹操も娘を使って俺をからかうな、冗談で済む話と済まない話があるんだぞ。」


「わかっている、だから冗談じゃない。

俺は娘の幸せ、天下の状況、全てを考えた上でお前に曹清をやる。

お前も命の恩があるなら嫁に迎えるぐらいしろ。」

「しかし、私は見ての通りのオッサンで・・・」

「俺と似たようなものではないか、俺は今でも嫁を取るからな。」

すぐに側室を増やす曹操にとって歳の差など微々たるものであった。

俺は曹操の説得を諦め、曹清に向き直す。

「曹清様、貴女は今取り返しのつかない所に来てますよ、このままだと、こんなオッサに嫁ぐ事になってしまいます。

どうか曹操に言って取り消し・・・」


曹清は俺に抱きつき口で口を塞ぐ。

「陳宮様、私の気持ちは変わりませんよ。

私は他の誰でもありません、陳宮様に嫁ぎたいのです。

どうかフツツカモノですがお嫁にもらってくださいませ。」

ここまで言われて初めて俺は今までの曹清の行動が本気だったと気付く。

「あ、あの・・・いつから・・・」

「最初からです♪陳宮様、私はもう陳宮を逃がすつもりはありません。」

そう言うと曹清は俺の首筋にキスをして跡を残す。

「陳宮様は私のものです・・・」

勢いあまったのだろう、曹清の顔を真っ赤に染まり、恥ずかしそうにしている。

俺はその姿を可愛いと感じていたのだった。

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