第102話 孫権と劉備
二大勢力の曹操と袁紹がぶつかった官途の戦い(始まり黎陽の戦いの結果はすぐに天下に知れ渡る事になる。
「ふむ、両者痛み分けといったところか?」
孫権と周瑜は地図を広げながら二人で酒を酌み交わし、天下について語っていた。
「いや、孫権それは見方が甘い、袁紹の被害の方が大きいだろう。」
「しかし、曹操は跡継ぎが使い物にならなくなったぞ、これはかなり武威を下げる結果になるのではないか?」
「たしかに無駄な敗戦ではあるが、実質曹操の兵は1万ぐらいしか減っていない上に陳宮が健在だ、官途の戦いを見るにあの者の動きに勝敗がかかっているでしょう。」
「つまり、周瑜は曹操についておくべきとのことだな。」
「ああ、袁紹についても旨味は無い、それどころか曹操の戦に駆り出され消耗したところに袁紹が攻めて来るだけだ。」
「ならば曹操とて袁紹を滅ぼせば、こちらに来るから同じであろう。」
「曹操が袁紹を滅ぼすにはまだまだ時間がかかる、その間に我らは力をつけなければならない。」
「頼りにしているぞ、周瑜。」
「任せろ、孫策の目指した天下の為に俺は全力を尽くすのみだ。」
孫権と周瑜は亡き孫策を想い、天に酒坏を捧げ、一気にあおる。
孫策亡き今、勢力下の名士達を懐柔、もしくは力で従わせ勢力を拡大している孫権だが曹操、袁紹に対抗するにはまだまだ時間が必要だった。
「袁紹さん、俺の戦略としてはだ、曹操南の劉表を動かして挟み討ちを提案する。」
劉備は思いついた戦略を袁紹に上申していた。
客分扱いで所属しているものの、陳宮に負けた事もあり、風当たりが強い、ここらで理由をつけて袁紹から離れようとしていた。
「ふむ、悪くない策やもしれんな、郭図どう思う?」
「良き策かと、劉表は日和見ですが劉備と同じ劉性、劉備が向かえば説得できるかも知れません。」
郭図としては劉備は警戒する相手であった。
劉備の名声は民衆に対して強く、袁紹支配下の土地でありながら徐々にその勢力を増している。
このような者が戦の最中に裏切ったらどれほどの損害を受けるか知れたものではない。
自らの策で出て行ってくれるなら、それにこしたことはない。
「ならば劉備、劉表を説得して曹操を攻めさせるのだ。」
「はっ、いっちょやってきます。」
劉備は関羽、張飛を連れて荊州の劉表を目指す、そこには袁紹の為ではない、自分の為に向かうのであった。
「劉備の兄貴、よかったのか?平原辺りの民は俺らの味方になってただろ?
あそこで独立出来たじゃねえか。」
「張飛、あそこは駄目だ、曹操と袁紹に挟まれ何も出来なくなる、それよりは荊州だよ、あそこは人も多いし、兵力もある、貰い受けるなら荊州だ。」
「そんなもんかねぇ〜」
張飛は地図など頭に無い、平原だ荊州だ言われても何処がどうだかすらわかっていなかった。
「張飛、お前は戦を考えればいいのだ、兄者と俺で考えての行動だ。」
「関羽の兄貴が言うなら間違いねぇな。」
「おい!張飛それはどういう事だ!」
根無し草の劉備は新たな寄生先を求めて荊州を目指し旅立つのであった・・・
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