第153話 南皮陥落

南皮陥落の報せは少し遅れて袁紹軍に伝えられる。

「南皮が落ちただと!袁尚、袁譚は何をしているのだ!」

報せを聞いた袁紹は怒りのあまり立ち上がり叫ぶ。

「落ち着いてくださいませ、袁譚様、袁尚様御二方とも黄河にて陳宮軍と対峙しております。」

沮授が激昂する袁紹をなだめる、たとえ南皮が落ちたとしても奪い返せば良いのだ、今必要なのは落ち着いて対処する事だと考えていた。


「何を申すか!南皮が落ちたという報告が届いたのだぞ!」

「だからこそです。

今浮足立つと思わぬ所で足元をすくわれる事になるでしょう。

情報を精査し、事に当たれば必ずや上手くいくことでしょう。」

「・・・たしかにそれも一理あるのか。」

激昂した袁紹は少し落ち着きを取り戻しつつあったのだが・・・


「沮授殿、貴方は南皮を軽く見過ぎている。

袁紹様、南皮は我が甥が守っておりました、敵に奪われた失態、叔父である私が取り返して見せましょう。」

南皮留守居役だった審栄の叔父、審配が名乗りを上げる。

「おお、審配。そなたなら任せられるな、3万を率いてまずは袁尚の下に向かい袁尚軍2万を連れて南皮を攻め落とせ。」

「はっ!」

「袁紹様!お待ちを、審配殿だけでは些か不安がございます、どうかご再考を!」

「沮授殿、某を侮辱する気か!」

「勘違いなさるな、侮辱するつもりなどは無い、だが陳宮は名将とも呼べる漢だ、もっと慎重に調べ挑むべき相手なのだ。」

「そんな事をしていたら南皮を荒らされてしまうではないか!

袁紹様どうか南皮の民を救う為にも一刻も早く討ち滅ぼすべきかと。」

「審配に4万を預ける、袁尚と合流し、6万を持って陳宮を討ち破れ。

沮授よ、南皮の民を救う為だ少々の危険は犯さねばならぬ、だがお主の忠告を受け1万増やしておく、これならば大丈夫であろう。」

「・・・袁紹様、ご配慮感謝致します。」

沮授は自身の意見が実質却下された事を感じ、天を仰ぐ。

果たして陳宮に勝てるのか、軍を向かわすこと自体が罠なのではないのか・・・

沮授の悩みは尽きることが無かった。

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