第178話 曹清と曹彰
黄蓋をもてなす宴の陰で・・・
「曹彰、なぜ邪魔をするのです、私は陳宮様の妻として黄蓋殿をもてなす必要があるのです。」
「妻などと言うな!朝廷の権威を押し付け先生に嫁ぐなど恥を知れ。」
「曹彰、今はそれどころじゃないのです、貴方はお父様の天下取りの邪魔をするつもりですか。」
「ぬっ!」
曹彰にも薄々は気付いている、曹清が妻にいる方が曹操陣営に所属する鎖になるという事を。
しかし、頭で理解出来てはいるが感情がそれを許さない、曹彰としては妹達が大きくなった時に改めて縁を結びたいと考えていた。
「曹憲、曹節が大きくなるにはまだまだ時間がかかります、貴方は陳宮様にそれまで独り身で過ごせと言うつもりですか!」
「そ、それまでは大喬小喬の二人がいるし・・・」
「曹彰、それで孫香さんを抑える事が出来ると考えているのですか!」
「先生は簡単に色香に迷う人ではない!」
「陳宮様はそうでも家臣は違いますよ、陳宮様の子を誰が身籠るかで状況が変わるのです。
これは男の曹彰には出来ない戦いなのです!
お父様の天下取りの邪魔をするつもりが無いなら私の邪魔をしないでください。」
「うるさい!先生を裏切ったお前の言葉なんか信じられるか!」
「曹彰、私は一度たりとて陳宮様を裏切ったつもりはありません。
ですが、不名誉な噂を立てられた事も事実・・・
ですので、次に私が陳宮様を裏切ったならその剣で私を斬りなさい。
私も陳宮様を裏切って生きていくつもりはありません。」
「斬れと言うのか?本当に斬るぞ。」
「ええ、裏切った時は好きにしてください。」
曹彰は曹清の目から本気の意志を感じる。
「・・・暫く様子を見る。
だが、先生を裏切るなら俺の手で斬る。」
曹彰は殺意を曹清に叩きつけるが、曹清は覚悟を決めてそれを耐えきる。
曹清とて陳宮に添え遂げる為に命をかけているのだ、殺意の一つや2つつ耐えきれないはずがない。
曹彰は曹清の覚悟を感じ、少しだけ態度を軟化させるのであった。
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