第238話 高幹防衛中
「くそっ!この鄴を力攻めで落とす気か、これだから考えの足りない者は。」
高幹はまさか力攻めでくるとは思っていなかった、それ程までに鄴の守りの堅さは有名だったのだ。
「高幹様、よろしいではないですか、曹操軍に被害が出るだけにございます。」
郭図は曹操軍の行動を笑う。
「それでもだ、こちらにも被害が大きい。
それに呼び寄せている援軍の事もある、戦も無く終わればアイツラはうるさいぞ。」
「援軍ですか?」
「そうだ、鮮卑族から軻比能が援軍に来る、奴等十万の鮮卑族を曹操軍と戦わせるつもりだったのだが・・・
曹操軍が勝手に負けるなら、報酬が高くつくではないか。」
高幹とすれば曹操軍と鮮卑族が互いに潰し合ってくれた方が有難い、防衛戦で自軍をすり減らす事は今後を考えても避けたかった。
「高幹様、戦は思うようにならぬ物でございます。
聞けば曹操の小倅が総大将との事ではないですか、高幹様の威風に恐れを無し、短慮な城攻めを開始してしまったのでしょう。」
郭図は当たり障りの無い事を口にする、高幹の配下になり日の浅い郭図としては機嫌を損ねる訳にはいかない。
「俺の威風か・・・」
「そうでございます、高幹様を前にして冷静でいられなかったのでしょう。
さもなくば、鄴を見て力攻めが無駄だということは誰の目にも明らかにございます。」
「うむ、俺の威風が悪いのなら仕方ない。
郭図よ、曹操軍の攻撃も長くは続くまい、引き上げる際に追撃をかける、準備をさせろ。」
「一気に決めるのですな、それはさぞかし高幹様の武名が轟く事になるでしょう。」
「軻比能も近々到着するだろう、そうすれば都まで攻め上がるのも悪くないな。」
高幹の頭には曹操軍を打ち破る未来しか見えていなかった。
防衛戦をしつつも、騎兵を準備し出陣の時を待つのであった・・・
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