第237話 攻城戦

「東側からの攻撃は張郃に任せる、被害を抑えつつそれなりに攻め立ててくれ。」

「わかりました、陽動ですね。」

「そうだ、南の本隊に繋げる陽動だ、無理はしなくていいよ。

それから張遼は俺達の本隊を率いて門が開いたらいつでも行けるように準備を頼むよ。」

「了解、お前はどうする?」

「張郃の後ろから全体を見るさ、趙雲は俺の護衛についてくれ。」

「わかりました、殿の安全はこの趙雲がお守り致しましょう。」

「頼りにしている。」

俺は軍を配置につけ戦に備える。


・・・夜がふけた頃。

張郃が東側より攻撃を開始する、それに合わせて西側から曹彰麾下の于禁が攻撃をかける。

「夜襲か、矢を喰らわせてやれ。」

鄴にこもる高幹は冷静に兵を配置し、東西の攻撃を防ぐ。

「この程度で落とせる訳が無いだろう・・・

つまり陽動か、北と南、どちらだ。」

高幹は本隊がどちらかから攻め込んで来ると予測する。

「見張りを立てろ、南北のどちらか・・・もしくは両方から攻撃が来るかもしれん!」


「申し上げます、南側から敵の攻撃が始まりました!」

「来たか、対応を急げ!あと誰が攻めて来ているか確認でき次第知らせろ!」

「はっ!」

高幹の長い夜が始まるのであった。


「陳宮の策を待つまでもない、俺達で落としてしまうぞ!」

于禁は激しく攻めたてる、陽動であることは理解している、だが隙あらば自分達のチカラで落とすつもりで攻めかけていた、そうする事で曹操軍には陳宮以外の将がいることを天下に知らしめようとしていた。


一方張郃は命令通り、攻めかけているものの、兵に被害を出さないように気を使いながらである、東側の于禁に比べて緩い攻撃となっていた。

必然的に攻撃の激しいところに兵が集められる、そんな中・・・


「全軍総攻撃だ!」

曹彰の号令と共に南から総攻撃が始まる。

曹彰軍の一斉攻撃に高幹及び鄴の兵士の注目が南側に集まる。

城壁に梯子をかけつつ、城内に向けて大量に矢を射掛ける。

着実に一歩ずつ城を落とそうとしていたのだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る