第228話 袁家の争い

「高幹を討つ!」

袁煕は高幹を討つために兵を起こす、烏桓族から3万の援軍を受け、総勢5万の軍を南下させ高幹に迫る。

対する高幹は匈奴より2万の援軍を受け総勢7万で迎え討つ、袁家の争いが匈奴と烏桓の争いと化していた。


戦は一進一退の激戦となり、停滞を余儀なくされるのだが・・・


「袁煕め、中々やるな。」

「高幹様、私に策がございます。」

高幹に降った郭図が恐る恐る高幹に進言する、郭図は高幹に捕縛されたあといち早く保身の為に降伏を表明し、身の安泰をはかっていた、此処での進言を成功させ、さらなる保身を得ようと必死であった。

「郭図なんだ?言ってみろ?」

「はっ、袁煕は全軍を我等に向けていると考えられます、ならばこそ本拠地が手薄であると考えます、ならば別方向から戦を仕掛ければ撤退するしかありますまい。」

「別方向と言っても隣接する并州から攻め込める程の軍は無い、どうするつもりだ?」

「袁尚を使うのです、あの者にとって袁紹の後を継ぐのが最重要にございます、袁煕が我等を打ち破る事を一番望んでいないでしょう。

ならば袁煕が跡目を狙っているという噂を流し、そのうえでこちらから使者を出し、袁紹の跡目として迎え入れる準備があると伝えるのです。」

「・・・流石に信じないだろう?」

「そこで袁家に伝わる宝物、特に当主が持つ宝剣、宝玉がございます、これをまずは一つ袁尚に渡すのです。

その上で我等は袁譚に家督を継がせない為に決起したのであって、袁尚を当主にすえるつもりであったとすれば良いのです。」


「なんと宝剣と宝玉を渡せと言うのか!あれは袁家に代々伝わる品!この俺が持つのに相応しい物ではないか!」

高幹にとって袁家に伝わる宝物は望んでも手に入らない憧れがあった、それが今手元にあるのだ、それを他者に渡すなど考えたくもない。


「高幹様、貴方は新たな家を起こしたのです、袁家の宝物にこだわるなど愚かな事にございます。」

「・・・お前の言うこともわかるが。」

「高幹様、天下を狙おうという方がたかが剣と玉に固執してはなりません。」

「天下か、郭図お前の言う事に一理ある、好きに使え。」

「はっ、必ずや袁尚を騙してみせましょう。」


郭図の策を袁尚はアッサリ信用してしまう、それほどまでに兄弟を憎み、信じられなかったのだ。

袁尚は軍を起こすと袁煕の本拠地薊を攻め落とす。

袁煕は全軍を上げて高幹に挑んでいた為に守りが手薄だったのだ、袁尚の全軍に抗うすべが無かった・・・

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