第96話 情報入手
俺は曹丕を含めた曹洪の軍が出陣したことを後から聞くことになる。
どうやら曹丕の減刑を得るための出陣であることに加え、曹丕自身が謹慎から抜け出した為に俺への気遣いから連絡が遅れたようだった。
「まあ、俺は気にしないのだが・・・」
俺は曹丕の事より、若者達が出陣前から袁紹を侮る発言をしていたという噂を聞き心配していた。
「陳宮様、何を心配なさっているのですか?」
報告を眺めていたら曹清がお茶を持ってきてくれる。
「いえ、曹丕様が無理をなさらないかと心配でして。」
「あの子は自業自得です!まったく反省もせずに戦をして誤魔化そうなんて最低です。」
確かに曹清とすれば弟とはいえ自分を嵌めた相手である、時も経ってない今、感情的になっているのだろう、珍しく声を荒げていた。
「曹清様。落ち着いてください、確かに自業自得かも知れませぬが、戦に敗けるということは死を意味してしまいます。
本来なら万全の準備で当たるべきなのですが・・・」
俺は地図を眺める、黎陽の文字が妙に気になる、現在俺が落としたあと袁紹の手に渡っている、場所的に重要拠点ということもあり、防備は固められ次に落とすのは簡単では無いであろうとの報告も受けていた。
仮に此処に引き込まれたら・・・
俺は冷や汗が流れる、俺の元には張遼が調べた報告書から黎陽の状況を知ったが、曹丕が持っているかどうかはわからない、その上、俺が簡単に黎陽を落とした事を殊更批判していたとの噂も流れて来ていた、もし簡単に落とせるなどという考えを持ち攻め込めば袁紹の餌食になるであろう。
「こうしてはいられない!曹清様失礼します!」
俺は慌てるように張遼の屋敷に向かって駆け出した。
「張遼!兵士はどれぐらい動かせる!」
俺が屋敷に駆け込むと張遼は庭で曹彰に稽古をつけている最中だった。
「陳宮どうした?何かあったのか?」
「曹丕様が謹慎を破り袁紹討伐に向かったそうだ。」
「ああ、あの若者達の愚かな挑戦か?」
「その通りだが言い方があるだろ。」
「そう言ってもな、まるで準備をせずに戦い方も決めず出ていった軍など負けるだけだろ?」
「それはそうだが・・・だが俺達もそうなるぞ。」
「どういう事だ?」
「援軍に向かう、いやもう遅いかも知れんが出来ることはしておきたい。」
「相手はお前を馬鹿にして曹清様を嵌めようとした奴らだぞ?」
「そうは言っても同じ曹操軍であるし、曹清様の弟だ、死ぬ事はないだろ。」
「このお人好しめ、すぐに集めるが騎兵二千だ、それ以上は無理だな。」
張遼は即座に動ける軍を考える。
多くは徐州に置いて来ている、即座に動ける兵は多くはなかった。
「二千か・・・」
俺は考える、二千でどうやれば戦えるか。
「陳宮、深く考えるな。戦なら俺の出番だ、お前は状況を見て戦う相手を選んでくれればいい、俺達ならどんな相手も突っ切ってやる。」
張遼は自信満々に胸を叩くのであった。
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