第76話 旧呂布軍に・・・
俺が療養している間に戦勝の宴での呂希と夏侯恩の話が張遼の元に届く。
「呂希様が?まさか・・・」
張遼は信じたく無いものの調査結果が全てであった。
戦に行く前に放った間者も陳宮の屋敷に出入りする夏侯恩の姿を目撃しており、それ以上に宴での醜態が全てであった。
報告では曹操も対応に苦慮している所だと締めくくられていた。
「皆に話がある。」
張遼は陳宮を除く主だったものを集めて手にした情報を伝える。
「おいおい、嘘だろ?」
「まじかぁ〜」
魏越、成廉は頭を抱える。
「不義か・・・」
高順は天を仰ぐ。
「皆に聞きたい、俺達はどうする?」
張遼の少ない言葉には身の振り方についてということは理解出来た。
「俺は呂希様と関わりが無いからな、このまま陳宮につくぜ。」
成廉はアッサリとしていた。
「俺もなぁ、どちらかと言うと曹清様の方がな。」
魏越としても共に行軍し、話すことも多かった曹清に感情移入出来ていた。
呂希は呂布の娘であるが故に家臣の多くを見下しており、積極的に関わった者は少ない、成廉、魏越にとって前の主君呂布の娘と言う事でしかない、害する気も無いが擁護する気も無かった。
二人が呂希を見捨てる中、高順が重い口を開く。
「俺は呂希様が奥方で良いと思っていた、曹清様はどうなるかわからぬが二人を娶ればいいとな。
・・・だが、陳宮を裏切ったとなれば話が違う。
陳宮の何処に非がある。
呂布様の為に己の俸禄を全て差出し、身を粉にして働く姿を見てきた、あいつこそ誠の忠臣であろう。
それを蔑ろにするのならば、主として相応しくない、少なくとも俺が忠節を捧げるには相応しくない。」
高順は悩みながらも、呂希を見捨てる決断をした。
「高順がそう言うとは思わなかったが、当然俺も呂希様には愛想が尽きた、我らの意見として陳宮に伝えるが問題あるか?」
張遼は呂布軍の中でも重鎮であった高順が呂希を見捨てたことに少し驚きがあるが、これで懸念は無くなった、陳宮を裏切った呂希を見捨てる決断を選択するのだった。
「無いな、だが今は心痛をかけるべきではないだろう?」
「そのとおりだ、時期を見て話をしようと思う。だが、その時に我らの意見が纏まっていないといけないと思ったからな。」
「なるほど、理解した。
その辺りは張遼に任せよう、俺はこのまま青州の守りに戻る。」
高順は陳宮の緊急事態だからこそ、単父に来ていたのだ、青州を守るために一刻も早く戻る必要があった。
「ああ、任せろ。
青州は任せたぞ。」
「おう!」
高順は翌日手勢を纏めて青州に帰還した。
俺が張遼から真実を伝えられたのは勅使が来る前日になるのであった。
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