第243話 対応

「さて、どうしたものか・・・」

俺はみんなを集めて協議する。

「呂希様か、恥ずかしげも無くよく顔を出せたな。」

話を聞いた張遼は呆れるようにいう。

「俺なら会おうとはしないな。」

魏越も呂希の行動は有り得ないと呆れている。


「陳宮、何を悩んでいるかは知らんが、邪魔なら殺ればいいんじゃないか?」

甘寧は何を悩んでいるかわからない様子だった。


「甘寧、元とはいえ主家の娘なんだ、あまり酷い真似はしたくない。」

「そうか?だが元だろ?まあ陳宮の優しさを考えれば多少の援助をして放逐でいいんじゃないか?」

「・・・甘寧、少し耳を貸せ。」

魏越が甘寧に耳打ちする。


「陳宮、殺っちまおう。」

甘寧の意見が厳しい物へと変わる。

「魏越何を吹き込んだ?」

「何も?今までの事情を教えたんだ。」

魏越は旧主の呂布の命令で落城直前に結婚したのち、陳宮の俸禄全てを使い贅沢三昧をし、不貞を働いた上に帝の勅使により離縁したことを伝えていた。


「いや、言葉にすればそうかも知れないが・・・」

「それ以外の言い方は無いだろ、全て事実だ。」

張遼が認めた事で呂希の悪行が誤解出ない事が全員に伝わる。


「だが、呂布様の手前、見捨てる事はしたくない、一度臨淄にお連れして、然るべきお相手を見つけるべきだと思うが?」

「そこまで面倒みる必要も無いと思うが?」

「しかしだな、見捨てるのも違うだろ?」

俺の言葉はみんなに響かない。


「陳宮、呂布様の御子息を保護している、無理に呂希を保護する必要は無い。

そもそも高幹に嫁いでいた者だ、敵対者として扱うべきだ。」

張遼は既に呂希を見限っていた。


「みんなも同意見か?」

俺が見回すと全員が頷く。

「わかった、臨淄に連れて帰りはしない、だが俺の資産からいくらかを提供して当面の生活には困らないようにして差し上げたい。」

「わかった、額については俺達が検討する、お前は情に流されるからなもう会わない方がいいだろう。」

「いや、そこまでしなくとも・・・」

「必要以上の優しさはいらない、だいたい皇帝陛下の名を使った離縁なんだぞ、お前が関わる事すら不敬だぞ。」

確かに皇帝陛下の御名は重い、張遼の言う通り関わるべきではないのではないか。

俺も強く否定することが出来ず、呂希の扱いは張遼預かりとなるのであった。

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