第288話 作戦変更

俺は進軍する張遼と合流する。

「陳宮、何故前線まで来ている、お前は新野で待っているはずじゃなかったか?」

「いや、ちょっと状況が変わったんだ。」

俺は孫権の死を張遼に伝える。


「なんと、孫権が敗れるとは・・・」

「俺も予測が出来ていなかった、だからこそ、この襄陽攻めにチカラを入れようと思ってね。」

「確かに孫権がいないとなれば周瑜も一度撤退するか・・・」

俺が襄陽まで攻める事にしたのは孫権軍との連動を考えての事だ、孫権軍が撤退した今攻め落とす理由はほとんど無いように感じる。


「だからこそ、襄陽にいる劉表を始末する。」

「この状況で劉表を狙うのか?」

「まあね、その為に来たんだ。

陸遜、仕込みは終わっているな?」

「勿論です、いつでも城門は吹き飛ばせます。」

新野と同様、すでに多くの火薬を城内に運び込んでいる、必要とあれば即落とすことも可能であった。

「成廉は西、魏越は東に張れ。

北は張遼の本隊、南は俺と趙雲が向かう。

黄蓋殿には遊軍として脱出を試みる劉表に備えてください。」

俺は城を四方から囲み逃げ道を塞ぐ。

更に劉表が逃げる事も考慮し、黄蓋を別途に配備する。


「夏侯覇、君に三千の兵を預ける、黄蓋殿の指揮下に入り指示を仰げ。」

「黄蓋殿の指揮下にですか?」

「そうだ、黄蓋殿は歴戦の名将、俺達とは違う指揮を学ぶいい機会だ。

黄蓋殿、まだ未熟な若武者だが宜しく頼みます。」

「陳宮殿の御配慮感謝致す。」

黄蓋は陳宮の配慮に感謝する。

若武者の育成を任せるように見え、孫権の仇が討てるように兵を増員してくれたのだ。

老将の目に涙が浮かぶ。

「黄蓋殿、宜しく頼みます。」

俺は黄蓋に礼を返し軍は動き始める。


「陳宮軍が包囲している?孫権を葬ったというのにご足労な事だ。

篭城していればすぐに援軍が来る、落ち着いて対処すれば良い。」

劉表は孫権を倒した事の報告は受けており、江夏の蔡瑁に援軍を求めていた、程なくして来る事は間違いない事であり、城を包囲する陳宮軍を内と外から叩けば倒すことは簡単な事であった。


「劉表様、陳宮は策多き男にございます、無策で包囲するとは思えませぬ、くれぐれも御用心を。」

劉表の軍師である蒯良は進言する、新野を短期間で落とした方法も判明していない状態なのだ、油断は禁物と考えていた。

「陳宮が得意としているのは偽書というではないか、すでに各所に警戒を促している。

書類の印璽も変えたし、簡単に偽書は成功せん。」

かつて黎陽を落とした手順は劉備を通して劉表に伝えられていた、その為に警戒をされていたのだが・・・


ドガーン!!


大きな爆音が響き渡るのであった。

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