第165話 話のあと
「夏侯淵様は何が言いたかったのだろう?」
話し終えた後、典満は首を傾げる、結局曹真が行った職務怠慢についての言及も無かったのだ、その事が何かあるのでは無いかと考える。
「夏侯淵様も曹清様を救いたいのさ、だがお立場もあるから簡単に認める訳にはいかないって訳だ。
それに大戦の前だから俺達に奮起を促したんじゃないか?」
夏侯徳は楽観的な言葉を述べる。
「なるほど、つまり手柄を立てろって事か。」
「まあそうだよな、特に曹真は見逃されている罪の分も手柄を立てないとな。」
曹休は曹真に軽く振る、そこにはからかうような意味合いが強かった。
「うっ!わかっているって、頑張るさ。」
曹真の返しに笑い声が漏れる。
「夏侯充、お前も頑張れよ。
俺達も支援してやるからな。」
曹休は夏侯充の肩を叩く。
夏侯淵の言葉に従えば、夏侯充が陳宮を越える手柄を立てれば、曹清を救う事ができ、はれて愛し合う二人が結ばれるのだ。
「ああ、勿論頑張るがみんなも手助けを頼む。」
「任せておけ!」
明るい感じで笑い合っていた・・・
「本当にそうなのか・・・」
「夏侯淵様が甘いとは考えられない、何か裏があるのでは・・・」
典満と夏侯尚は夏侯淵の言葉に不安を覚えていた。
その頃、夏侯淵と曹仁は話し合う。
「結局、お前も陳宮と曹清の結婚に反対だったんだな。」
「・・・はあ?何を言っている?」
「だって、手柄を立てれば認めるのだろ?」
「陳宮以上の手柄が立てれるのか?」
「えっ?」
「陳宮は既に渡河成功している、これだけでも充分な功績だが、俺はあの男がこの程度とは思っていない。」
「待て待て、渡河の成功は高順の手柄だろ?」
「高順は陳宮の部下だ、つまり作戦成功の功績は陳宮にある。」
「それじゃ若い者達に勝ち目なんて無いじゃないか!」
「有るわけ無いだろ、これが陳宮とアイツラの差だ。
まあこれを覆せるような手柄を立てれば俺も口添えしても良いとは思うぞ。」
夏侯淵にとってすれば、手柄を立てた方が正しいだけである、そして陳宮は青州、徐州平定、官渡の戦い、など既に充分と言えるほどの手柄を立てている、
どう足掻いても陳宮以上の功績など望みようもないのだが・・・
「それじゃ若い者が可哀想じゃないか!」
「お前は若い者に甘すぎる、若いうちは辛酸を嘗め自らを鍛えねばロクな成長をせん、可哀想など言っているうちは駄目だ。」
夏侯淵は自分の話している言葉の裏を読めていない若者達に失望していた。
次世代がこれならば曹操に天下を取らしても次が怪しい、何とか対処をしなければと心に誓うのであった。
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