第263話 劉備、軍師を知る
人を探す劉備は襄陽にて人物鑑定士として有名な龐徳公と呼ばれる人物を訪ねていた。
「龐徳公殿、この劉備にお力を貸していただけませんか?」
「私は人を見ることに自信はありますが天下国家となると足りぬ不才の身でございますので仕官の話はご容赦願いたい。」
「龐徳公殿、それならば龐徳公殿が天下に挑める才覚の持ち主を紹介願えませんか?」
「天下に挑むか・・・
生憎と心当たりが無いですな。」
龐徳公は劉備の頼みをノラリクラリと、かわそうとしていたのだが・・・
「義兄、天下に挑める才覚といえば龐統がおられるではないですか!
それに徐庶、諸葛亮も充分に・・・」
「司馬徽、口を慎みなさい。
劉備殿義弟が失礼いたしました。
未熟な書生の戯言と受け流してくだされ。」
龐徳公は深く頭を下げる。
「それより司馬徽殿が申された龐統、徐庶、諸葛亮とはどのような方ですか?」
「まだ、未熟な若者達にございます。
若者特有の無謀な大言を述べる者達にございますれば、劉皇叔様にお仕えするまでもございません。」
「いや、司馬徽殿が、わざわざ口を挟んでまで言われた者ならば充分に才覚があるのでしょう。
司馬徽殿、どうか彼等を紹介してくれませんか?」
「ええ、私から紹介状を持たせて劉皇叔様の下に向かうように薦めておきます。」
「かたじけない、この劉備御恩は忘れません。」
劉備は最大の礼を取り、帰っていく。
「司馬徽よ、何故劉備に3人を薦めた。」
劉備が立ち去ったあと、龐徳公は司馬徽に向き厳しい表情を見せる。
「義兄こそ、彼等の才を認めていた筈、何故推挙なされないのです!」
「3人の才覚は知っておる、だからこそ天下の為に使ってほしいのだ。」
「天下の為に?劉皇叔様に力添えするのが天下の為にならぬと言うのですか?」
「劉備にどれだけのチカラがある?
そもそも恐れ多くも皇家名を騙り、徐州を乗っ取り、曹操の庇護を受けながら暗殺に加担し、袁紹がチカラを失えばこの荊州に擦り寄る獅子身中の虫ではないか。」
「義兄、言い過ぎです。
それに劉備殿は民の為に立ち上がり、皇帝陛下にも血筋を認められた御方です!」
「司馬徽、お前もまだ若いな。
皇帝陛下が劉備を認めたのは曹操が推挙したからだ、それを勘違いするな。」
「しかし、曹操の横暴を止める為にも!」
「曹操と争いこの荊州を血で染めるつもりか!
才ある者達が争いあえば被害は大きくなるだろう。
私は3人には曹操が天下を治めた後にその力を持って曹操軍内部から民の為にチカラを尽くして貰いたかったのだ・・・」
「義兄!それでは曹操が天下を我が物としてしまいます!
義兄と言えどもそれは承服出来ない!」
司馬徽は曹操が天下を取り漢王朝が滅ぼされる懸念を感じていた、だからこそ義兄として慕っていた龐徳公の言葉と言えども納得出来ない。
「人にはそれぞれ考えがある、司馬徽お前が思うならそれも正しいのであろう。
だがその結果をしかと見届けるのだぞ。」
龐徳公は司馬徽を諭すのは諦め自身の甥である龐統に手紙を書くのであった・・・
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