第135話 徐州に

宴が終わると俺は曹清を連れて徐州へ帰る。

「曹清様、張遼達が失礼をするかも知れませんがどうかお見逃しくださいませ。」

俺は道中、曹清にしっかり頼み込んでいた。

「わかっております、張遼達は陳宮様の事を思ってのことでしょう。

これも全て私が悪いのです。」

道中、曹清の表情は暗い、実際人質として嫁ぐ事になったのだ、その想いは複雑だろう。


俺はなるべく心労をかけないように気をつけねばと心がけていた。


「陳宮、話は聞いたぞ。」

下邳に着くと出迎え・・・というか待ち構えていたと言う方が正しいような張遼がいた。


「張遼、落ち着け、まずは話をしよう。」

「わかっている、キリキリ吐いてもらうぞ。」 

「張郃、曹清様を部屋に案内してくれ!」

俺は張遼に連れられ部屋(取調室)に連れて行かれる。

俺は許昌で合ったことを張遼に話す。


「陳宮、破談するんじゃなかったのか?」

「思ったより、俺の価値が高かったようだ。」

「まあ、青州と徐州を傘下にしているからな、だがどうする?これでは曹操を裏切る時に支障がでるぞ。」

「今の所、裏切る予定は無い、それよりこれは帝の命でもあるのだ、無下にもできん。」

「帝か・・・たしかにお前達の事は華歆から伝わっていたのだったか。」

「ああ、曹清様には悪い事をしていると思う。」

「うん?ああそういう事か。」

張遼は俺の言葉に何か気付いたのか、一人で頷いている。

「何がだ?」

「いや、お前が鈍感な事を思い出しただけだ。」

「だから、俺は鈍感じゃない!」


「はいはい、それじゃ俺も報告いいか?」

張遼は俺の言葉を軽く流す。

「全く、それで報告とは?」

「孫権からの使者が滞在している。」

「孫権から?寝返りは断ったはずだが?」

「一応曹操の同盟相手ということもあるからな、丁重に迎えている。」

「たしかにそうだったな。それで要件は?」

「お前との友好が目的らしい、まあ急いだ様子も無いから落ち着いたら会えばいい。」

張遼は軽く言うが今孫権と仲違いをする訳にはいかない。


「いや、なるべく早く会わねばなるまい、明日にでも面会できると伝えておいてくれないか?」

「わかった、明日だな。

陳宮面会の時はきっちりとした服を着ろよ。」

「いつものじゃ駄目か?」

「普段の服はヨレヨレじゃねえか、正式な使者なのだから礼服を着ろ。」

「礼服か何処にしまったかな。」

「ちゃんと用意してある、面会の準備が整ったら、それを着てこいよ。」

「へぇーい。」

その翌日、孫権の使者と面会が叶うのだが・・・


俺はその使者に驚く事になるのであった。

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