第140話 話し合い

「陳宮、お前の発想について来れるのは俺達ぐらいだぞ。」

成廉が笑いながら言う。

「そうか?ただ扮装して敵地を闊歩するだけじゃないか。」

「それにどれだけの胆力がいると思っているんだ、まあお前の悪知恵を信じているだけだがな。」

魏越も笑っている。


陸遜からすると大将すら笑い飛ばすこの雰囲気がありえない行軍を生み出す原動力に感じる。


「うーん、納得しづらいが・・・まあ、陸遜、甘寧も体験したらわかるはずだ、俺は大した事はしていないはすだ。」

「まあ、期待させてもらうさ、俺も武力には自身がある、一軍を任せて貰えれば他の誰より活躍してみせよう。」

「これはおかしな事を言うな、この張遼をおいて活躍が出来ると思っているのか?」

「当たり前だ、俺にしたら全員子供みたいなものだ。」

「「なんだと!」」


「落ち着け、甘寧、うちは武勇に自信のあるものが多い、その発言は袁紹相手に見せてもらう事になるが大丈夫か?」

「任せろ!いつでも見せてやるさ。」

「頼もしい話だ、お前らも簡単に追い抜かされるなよ。」

「おい、陳宮、てめえ他人事だと思って軽いな!」

「俺は武勇を競ったりしないからな、むしろ競い合ってくれたほうが戦果が期待出来ていい。」

「「ちんきゅーう!!」」

俺達の軽いノリを孫香はジックリと見ていた。


その夜、陳宮の寝所に向かおうとしていた曹清が見つけたのは同じく陳宮の寝所に向かっている、孫香だった。


「孫香さん、こちらは陳宮様の寝所になりますよ、お部屋をお間違えでは?」

「あら、曹清さんこそ、何をしていらっしゃるのかしら?」

「私は妻としてお側に控える必要がありますので。」

「お飾りの正妻さんはお呼びでないのでは?」

「それこそ他国の紐付きの方を寝所に招くはずがありませんわ。」

曹清と孫香二人は表情こそ笑顔であるものの、互いに引くこと無く睨み合う。


「二人共どうしましたか?陳宮様にご用事でしょうか?」

陳宮の部屋から大喬が出てくる。


「大喬さん、今陳宮様の部屋から出てきませんでしたか?」

曹清は少し震えた声で聞く、大喬小喬の二人が少なからず陳宮の事を想っているのは知っていた、だが戦場に同行出来なかった二人の距離は縮まる事なく、曹清がリードしていたはずなのだが・・・


「ええ、最近陳宮様は中々お眠りにならないので私達姉妹が陳宮様がお眠りになられるまでお側に控えているのです。」

「えっ・・・」

大喬小喬の二人は絶世の美女である、そんな二人が寝所に出入りしているばかりか、眠りにつくまで側に控えている・・・


曹清、孫香はその意味がわからないほど子供ではなかった。


「大喬さん、もしかしてあなた・・・」

「ふふ、ご想像にお任せ致します。

さあ、お二人共陳宮様はやっとお眠りになられたのです、今日はお帰りください。」

大喬に促され部屋に帰される、曹清は自身が離れている間の時間の残酷さを感じるのだった。

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