第205話 袁紹からの使者
袁紹が亡くなる少し前に甄氏は臨淄に到着していた。
一応名目としては袁紹の使者として沮授の息子沮鵠が代表として陳宮の代わりに治める張遼と対談していた。
「つまり袁紹殿は陳宮と誼を結びたいと?」
「ええ、袁紹様にこれ以上陳宮殿と争うつもりはございません。
それに陳宮殿とて曹操陣内で大きくなり過ぎましたな、このままだとご不幸を招く事になりましょう。」
「まあ一理あるな、だが陳宮は曹操の娘を娶っている、一門衆としての未来もあるだろう。
それに陳宮か離縁するとも思えん。」
「一門衆などという都合の良い言葉で身は守れませぬぞ、この乱世実の兄弟とて争う世の中なのですから。
それに陳宮殿が色を好むのはお聞きしております、そこで袁紹様の娘をお連れ致しました、どうぞ陳宮殿のお側においてもらえませぬか?」
「それを決めるのは陳宮次第だな、俺が口を挟む事では無い。」
「そうですか、それならいま暫くの滞在を許可願いたい。」
「いいだろう、城内に部屋を用意しよう。
陳宮が戻って来るまでゆっくりなされると良い。」
沮鵠一行は陳宮の帰りを待つ事になるのであった。
「甄氏様、張遼様ですよ!張遼さま!」
甄氏と美鈴は与えられた部屋に入って二人きりになった途端、美鈴が騒ぎ始める。
「美鈴何をはしゃいでいるのよ。」
「だって、曹操軍の名将の一人ですよ!」
「そう?そこまで曹操軍内で名前が出る人じゃないよね?」
「今はまだそうかも知れませんけど、これからもっと手柄を立てていくんです!」
「あのね、一応私達は袁紹軍に属しているんだから、張遼様に手柄を立てていかれると困るんですけど。」
「あっ・・・」
美鈴は慌てて口を押さえる。
「私だけにしといてね、沮鵠様に聞かれたら、うるさいからね。」
「はい・・・」
「いい私達は今敵地にいるのよ、陳宮様に取り入るまでは不審に思われる行動をしちゃダメ。」
「はい。」
「まあ、私の美しさがあれば大丈夫だと思うけど、美鈴あなたの美容の腕に期待しているわ。」
「はい、任せてください!」
甄氏は陳宮が帰って来るまで自分の美貌に磨きをかけるのであった・・・
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