第81話 夏侯恩と呂希
追い出されそうになっている呂希は夏侯恩のところにやって来ていた。
「夏侯恩、聞いて!このままだと私家を追い出されちゃうの!
そうだ!夏侯恩これを機会に一緒に住みましょう。」
「・・・」
「うん、それはいい考えよね。
どうせ結婚するんだし、少し早いだけよね。」
「・・・出てけ。」
夏侯恩はボソリと呟く。
「えっ?なに?何か言った?」
「出てけと言っているんだ!
お前のせいで俺は破滅だよ!」
「何を言ってるの?」
「お前が曹操様に言ったせいで俺は側近から外され、一兵卒からやり直しだ!」
「一兵卒ってどういうことよ!先の戦で大手柄を立てたんでしょ?
将軍になるんじゃないの?」
「なれるかよ!まだ気付いて無いのかよ!
手勢だけで食糧庫を襲撃なんて出来るわけ無いだろ!」
「えっ?」
「そりゃ、話を盛った俺も悪いさ!だが宴の席でお前が騒いだせいで俺は破滅だ!
これ以上何をさせる気だ!さっさと出てけ!」
「夏侯恩、出てけって・・・私はどうしたらいいのよ、私はあなたと結ばれる為に・・・」
「お前なんて遊びの相手なんだよ!
旦那もいるのにアッサリ抱かれる女を妻になどできるか!」
「そんな・・・」
「出ていかないなら!斬るぞ!」
ここまで話して呂希は夏侯恩の身なりがみすぼらしくなっている事に気付く、そして、今まさに抜こうとしている剣が汎用な剣に変わっている事にも・・・
「あなた青釭の剣はどうしたのよ?」
「お前のせいで没収だよ!」
「私のせい?」
「不倫の減刑の為だよ!ったく不倫なんだからバレないようにしないといけない事ぐらいわかれよ!」
夏侯恩は何処までも自分本意であった、結局似たもの同士という事だったのだ・・・
「そんな・・・武人が剣を手放すなんて。」
「くそっ!お前のせいだ!さっさと出てけ!二度と顔も見たくない!」
夏侯恩の剣幕に呂希は逃げるしか無い、それと同時に剣を、名剣をアッサリと手放すような男に興味も薄れるのであった。
「なによ、あーあ、なんか冷めちゃったな。
でもどうしよう?このままじゃ行くところも無いし・・・」
呂希は少ない頭で考えながら帰宅する。
「呂希、どうでした?」
厳氏は呂希にたずねるがクビを振る。
「そう?じゃあ徐州に帰りますか?
私の実家がありますから一先ずそこを頼れば・・・」
「そうね、こんなところにいても仕方ないわ、そうと決まれば支度をしましょう。」
呂希はいい意味でも悪い意味でも行動的であった。
屋敷にある物を処分して、厳氏の実家がある下邳に向かい引っ越して行くのであった・・・
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