第18話 曹操に頼み
「お父様、私は陳宮様の元に参ります。いいですよね?」
「お、落ち着け曹清、お前が行っても何にもならない。」
「私にはお詫びしなければならない事があるのです、お父様が許可してくれなくても参りますから!」
普段おとなしい曹清が初めて曹操に逆らっていた、普段なら微笑ましく見るものだが、今は情勢が悪い。
「小沛は前線になっているのだ、お前が行ってもいい場所ではない。」
「いえ、参りますから。」
曹清の頑固さは曹操譲りと感じられる光景だった。
「曹操、お前の負けだ、曹清俺は下邳攻めのために小沛に寄るがお前も一緒に行くか?」
二人を見ていた夏侯惇が提案する。
「夏侯惇、簡単に言うな。今の陳宮の幕僚は殺気立っているだろ、曹清に危害を加えかねん。」
「大丈夫だろ、曹清を傷つければどうなるか、わかっているだろ?」
夏侯惇の言葉には許昌にいる呂希の事を意味している、
主呂布の娘が都にいる限り、裏切りようがないのだった。
「おじさま、ありがとうございます。」
曹清は夏侯惇に礼を言う。
「いや、俺も甥がいらんことをした責任を取らないといけない。」
夏侯惇としてはただ友人というだけで事実を確認せず騒ぎ立て、世間を騒がせ、法を曲げようとした甥がいた、夏侯惇も陳宮に謝罪する必要があるのだった。
「待て、お前達勝手に話を進めるな。」
「なんだ曹操まだいたのか。」
「いるわ!!」
「お父様、用事は済みましたので、どうぞご自由になさってください。」
「曹清まで!!」
二人に冷たい目を向けられ曹操は少し凹む。
「わかった、俺も小沛に向かうから一緒に行くぞ。」
「お父様!!」
「曹操いいのか、袁紹の動きがおかしいのではないのか?」
現在、袁紹が兵を集めているとの情報が入ってきている、そのため曹操はいつでも戦えるように兵を集め鍛えているのだが。
「先に徐州を安定させなければ、全軍で袁紹に当たれん、ここは速攻が必要だ。
夏侯惇、先行して陳宮軍に合流せよ、俺も後を追って小沛に向かう。
曹清、夏侯惇の言うことをシッカリと聞くのだぞ。」
「お父様ありがとうございます。」
曹清は嬉しそうに頭を下げる。
「急ぎ向かうからな、早く用意をしてきなさい。」
「はい。」
曹清はパタパタと部屋に帰っていく。
「もう少し淑女としての教育が必要だな。」
「そうか元気があっていいじゃないか、そもそもお前の子だぞ、淑女なんて似合わん。」
「おいおい、俺だって時と場合でちゃんとするじゃないか。」
「時と場合次第でちゃんとしないがな。
さて、俺も準備してくる。
遅れると曹清に怒られそうだ。」
夏侯惇は部屋から出ていこうとする。
「夏侯惇、曹清を任せたぞ。」
「おう!」
夏侯惇は軽く手を上げ、出陣の準備に向かうのだった。
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