第296話 曹操の下にも
孫権の死は曹操の下にも届けられていた。
「孫権が死んだか、揚州を狙う機ではあるが・・・」
「曹操様、孫権死したとしても軍師周瑜が健在にございます、また我らは北に袁尚、高幹を抱えております、今南方に手を出すのは下策かと。
まったく陳宮も今南に火種を作らずとも良い物を・・・」
郭嘉は曹操を諌めつつ、南の政情を不安定にした陳宮に不満を吐く。
「そう言うな、陳宮とて全てを見通せる訳ではあるまい。」
「そうですが、劉表と孫権が死した事により予測が難しくなっております。
唯一の救いが両者とも後継者争いに突入した事でしょうか?」
「たしかに、だが孫権のあとは周瑜が推す孫匡で決まるであろう。」
「ええ、3歳程度の孫策の息子を立てるのはあまりにも子供すぎます、ですが太史慈が推す以上少なからず国が乱れる事になるでしょう。」
「孫権が後継者を決めておかなかった事が悪いな。」
「曹操様、そう言われるのでしたら曹操様も後継者をそろそろお決めください。」
「これは藪蛇だったか。」
「曹操様、何があるかわからぬのが乱世の定め、はっきりとお決めください。」
「だがな、曹昂亡き今、曹丕、曹彰、曹植、曹沖がいるがまだ儂の後を任せれるか言うと違う気がしてな。」
曹操は子を考えた時に思わず曹丕の名も呼んでしまっていた。
「・・・私としましては曹彰様がお継ぎになられるのが一番と存じますが。」
郭嘉もそれに気づいてはいたがあえて触れなかった
「確かに曹彰なら陳宮の支援も受けれる以上、現状頭一つ分は抜け出していることは間違いないが、曹彰は政治が苦手だからな果たして任せていい物か・・・」
「ならば曹植様、曹沖様は?」
「曹植は文人すぎる、太平の世ならそれでいいかも知れぬが今は駄目だな。
曹沖はまだ幼い、その才気の片鱗は見せているがまだまだ先が遠い。」
郭嘉としては曹彰一択ではあるのだが曹操は詩の才能を持っている曹植を気に入っている。
曹沖に対しても曹操が溺愛するほどの才気を見せている、先日象の重さを測ろうとした際、その場にいた者達は応えることができなかったのだが、曹沖は船に象を乗せ、船の沈んだ量と同じだけの重りを乗せる事により、その重さを求める方法を考案し、周囲を驚かせたばかりである、
曹操はその事を高く評価しており、後継者候補として名が上がりだしていた。
「曹操様、曹植様、曹沖様が才気があるのはわかりますが曹彰様も才気に満ち溢れております。
天下の為にも曹彰様をご指名なさる事が一番かと存じます。」
「郭嘉よ、お主の意見は聞くが後継ぎは難しい問題である、今決めることはできぬな。」
曹操は問題を先送りにする。
実際乱世の内は曹彰で良いのだろうが乱が収まった後、曹彰はそのチカラを持て余すのではないかと懸念される所がある、曹操は天下の情勢が定まってからでも良いと考えていたのだった。
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