第111話 戦が始める
宴が終わり、俺の身体はだいぶ楽になっていた。
どうやら張遼の言う通り、無理は駄目だなと感じるのであった。
「お目覚めか、陳宮。」
「高順、見張り助かったよ。」
「なに、これぐらいはさせろ。」
俺は張遼や高順の優しさに感謝を覚える。
新たな気持ちで袁紹軍と対峙していたのだが・・・
「陳宮、さすがに敵軍が増え続けていないか?」
「予想より多いな、だが攻めてくる余力までは無いと・・・って!徐盛に合図を敵の一部が渡河をしようとしている!」
遠目に船に動きが見えた、俺も兵を動かす。
「全軍、警戒を怠るな!」
高順の声が戦場に響く、こうして俺達の戦いが始まるのであった。
袁紹軍の一部が動き出した事が、全面戦争への引き金となる。
「こうなれば仕方あるまい、対岸に上陸して憎き陳宮の首を上げよ!」
袁紹軍10万は渡河を開始する。
袁紹軍には今回渡河をして戦を広げる用意は無い、だが戦が動き出した以上仕方のない事だと、袁紹は短期決戦を目論見全軍に渡河を命じるのだった。
「全軍が渡河をしてくるか・・・やるな袁紹。」
俺達が率いるのは2万5千、10万を超える袁紹軍を相手にするには分が悪すぎる。
「徐盛に後退の指示を!」
多勢に無勢になっている徐盛の船団に退却の指示を送る、無駄に兵を減らす前に臨淄での籠城戦に切り替えるのであった。
「成廉、先に臨淄に赴き、住民に籠城戦の事を伝えてくれ、避難出来るものはなるべく避難するように伝えてくれ。」
「わかったすぐに向かう。」
「高順、張遼少し時間を稼ぐ、高順は本隊を率いて緩やかに後退し臨淄へ向かう。
張遼、魏越は騎兵1万を預ける、遊軍となり、敵の隙を伺い本隊を援護してくれ、本隊が城に入ったらそのまま、城外に伏せ援護を頼む。」
「おう!」
俺は指示を出したあと、敵の動きを見る、動きは悪い、隙はあるにはあるが・・・
数が多すぎる、このままやり合えば負けるのはこちらである。
時間稼ぎに集中する、なるべく、上陸を阻止するように動くものの、多少の船を火矢で沈めたぐらいであり、あまり損害を出すことが出来なかった。
「仕方ない、臨淄に向かえ!」
俺は袁紹軍の中軍が上陸を始めた所で、臨淄に撤退するのであった。
俺と袁紹の戦が始まった日に黎陽への進攻が始まる。
それを見送りに曹操を始め、曹丕も出る必要があり、傍らには曹丕を支える為に曹清がついていた。
「夏侯惇、わかっているな。」
「・・・任せろ。」
あの日以来、曹操と夏侯惇との間に会話は少ない、互いに思うところがあるのだろう。
不仲にも見える二人の関係は曹操軍内に動揺をもたらす。
一方、曹丕の前に夏侯充は跪き挨拶をしていた。
「曹丕様、必ずや、曹家の敵を討ち滅ぼして参ります。」
だがまだ人前で話す事に恐怖を覚える曹丕は曹清を掴んで言葉を発する事が出来ない。
仕方ないので、曹清が変わりに声をかける事にする。
「夏侯充殿、どうか無理をなさらず、戦功を立てて来てください。
よろしいですか、お怪我をしないことも大事なのです。」
曹清としては曹丕の数少ない心を許せる相手を失いたくないという気持ちであった。
「勿体無いお言葉、曹清様の為にもこの夏侯充、必ずや戦功を立てて、この許昌に戻って参りましょう!」
夏侯充の宣言は大きな声で辺に響く。
それはこれまでの噂も相まみえ、曹清を娶る為に戦功を立てて来ると周囲には聞こえるのであった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます