第112話 籠城戦
臨淄に籠城するしか無かった・・・
俺は自らの失態に頭を抱える。
籠城戦は下策である、住民に苦難をしい、戦後の復旧も嚴しくなる。
だが、兵力差がありすぎ、現状籠城しか無かった。
唯一の救いは袁紹軍に攻城戦の準備が無く、矢を射掛けてくるぐらいに留まっている事だった。
高順は兵を指揮して各門を守らせる為に奮闘しており、城外では張遼、成廉が隙を見て攻撃を行っているが、中々戦況を打開することには至っていない。
徐々に苦しい状況となっていた。
その反面、夏侯惇軍は順調に進軍していた。
黎陽まで敵という敵がいない、先の戦も黎陽まで戦いが無かった為に罠という事も考え警戒しながら進むものの、取り越し苦労で終わりそうだった。
「郭嘉はどう思う?」
夏侯惇は現状を郭嘉にも確認する。
「陳宮の陽動が効いているのでしょう。
このまま黎陽を落としましょう。」
二人が作戦を詰める中、伝令が走り込んでくる。
「袁紹軍、全軍で黄河を渡り、陳宮軍と交戦!
現在陳宮軍は臨淄にて籠城中との事にございます!」
「なんと!袁紹がそのような大胆な策に出るとは!」
郭嘉の予想を超えていた、予定では優柔不断の袁紹は黄河を渡ることが出来ず、黎陽を落した所で黎陽に戻ってくる所を陳宮軍と挟み打ちで倒すつもりであったのだ。
「郭嘉殿、これは好都合ではないか?
我らは黎陽を落とし、鄴も奪えるのでは?」
夏侯充は郭嘉に進言する。袁紹軍本隊が臨淄を攻めているのだ、こちらは鄴を奪えばいい。
臨淄に比べて袁紹の本拠地でもある鄴は戦術的にも価値が高い、これを落とせば曹操の天下に大きな一歩となるだろう。
「待て、夏侯充、それは陳宮を見捨てるつもりか?」
「陳宮といえば英傑ではないですか、袁紹軍10万の相手ぐらい出来るでしょう、郭嘉殿もそう思ったから対峙させていたのでしょう?」
郭嘉としてはそれを言われると頭が痛い、黎陽を落とす事に集中しすぎて、袁紹の反撃の予測が足りていなかったのだ。
夏侯充の陳宮なら何とか出来るのではないか、という言葉は郭嘉にとってもそうであって欲しいとの願望もあり、信じたい気持ちにもなってくる。
「まずは黎陽を落とす、それがこの軍の役目である。」
夏侯惇は一度目を瞑り、命令を下す。
夏侯惇の信頼揺らぐ今、命令をこなす事が信用に繋がると判断してのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます